「檜山さん、○○って女の子知ってます?」
付き合っている彼女の事だった。
「知ってるけど、どうして?」
「いろんな飲み会で檜山さんと付き合ってるって言いふらしてますよ」
「え?」
いろんな飲み会に行っているだけでもショックなのだが、後輩から詳しく話を聞くと、最初に電話してきた女性と、今付き合ってる女性は芸人界隈ではとても有名な2人組で、とにかく芸人と遊びまくっているらしく、僕と付き合っている最中でもお構いなしに飲み会などに参加し遊んでいたとのこと。
どうやら最初から電話をかけてきた本人ではなく友達の方と付き合わせるという計画だったようで、カラオケボックスの「この友達良い子だなぁ」は、まんまと彼女たちの思惑にはまってしまったということだ。
素晴らしい計画と先を見据えた計算と素人とは思えない演技力。どれをとってみても脱帽する。彼女が言いふらさなかったら永遠に騙されていたかもしれない。
そして、なんだかんだすったもんだあれやこれやあって、結局彼女とはお別れした。今となってはいい思い出である。
遊ぶのも芸人、遊ばれるのも芸人。男と女の駆け引きはとても楽しく、とても切なく、このようにトークのネタになるので、芸の肥やしとはよく言ったものだ。真面目も良いが、時には不真面目も芸人にとっては必要である。