ピンク映画やオリジナルビデオ映画も含めると、監督としてこれまでに撮った作品数は100本を軽く超える城定監督。ここ数年も年間4~5本ペースで劇場映画を撮り続け、映画ファンはもちろん、映画業界での評価もますます高まっている。業界内評価が高い理由も、久保プロデューサーは語ってくれた。

久保「城定監督のすごいところは、どんな状況でも決して諦めないということですね。予算の少ない作品の場合は準備期間も短く、現場ではいろんな想定外のことが起きがちです。そんなときこそ、監督の力量が試されると思うんです。城定監督は現場でアクシデントが起きても諦めることなく、逆にアクシデントをうまく活かして撮影を進めてしまう。そんな離れ業を数多く見てきました。

 これは長年、撮影スケジュールのタイトなオリジナルビデオ映画を撮り続け、磨かれてきた能力なのかもしれません。たまにしか撮らない監督だと、このへんは難しいように思います。

 予定通りに撮影できないとその日は撮影が中止になってしまうこともありますが、予備日を使える余裕のなかった現場で地力を付けたからこそ、城定監督は結果的に納期も守ることになる。アクシデントも悲観しすぎず、常にベストを探りながら撮り上げるので、現場の士気が高いんです。ようやくメジャーな映画会社も城定監督に注目しているようで、うれしく思います」