生命の喪失と再生、夢の終わりと現実との対峙。文字にすると仰々しいが、そんな普遍的なテーマをユーモアと祝祭感をたっぷりに描いたのが、ただいま絶賛ブレイク中の城定秀夫監督の新作映画『銀平町シネマブルース』だ。埼玉県川越市に実在する創業60年を迎える老舗映画館を舞台に、生きづらさや貧困ビジネスといった社会問題を盛り込みつつ、ホロリとさせる群像劇コメディが繰り広げられる。
イケてない高校生たちの青春映画『アルプススタンドのはしの方』(20)をスマッシュヒットさせ、年明けにはシスターフッドムービー『恋のいばら』が公開されたばかりの城定監督。コメディ、エロス、アクション、サスペンスなど、あらゆるジャンルの作品を撮り上げる城定監督に、上質の脚本を提供したのは、『れいこいるか』(20)が「映画芸術」日本映画年間ベスト1位に選ばれた鬼才・いまおかしんじ監督。共にピンク映画出身の2人がタッグを組むのは、本作が初となる。コロナ禍で喘ぐ、町の映画館にエールを贈る作品として企画された。
城定ワールドといまおか節の融合は、素晴らしい相乗効果を生み出した。20人に及ぶ登場キャラクターたちの個性が、それぞれくっきりと映し出された愛すべき物語となっている。
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