――2023年3月末で一部区間を廃止し、残る区間も2026年3月末で廃止するJR側の案を、自治体が受け入れたというニュースがありました。沿線の自治体の首長たちは「できるなら残したかったがやむを得ない」とコメントしています。
小笠原 私は北海道の出身なのでわかるんですが、北海道内は鉄道に並行して高速道路や高規格の国道が整備されてきています。留萌線も並行していい道路がありますね。だから留萌の人が札幌に行こうと思ったら、おそらく高速バスを使うんです。ゆえに地元としても「やむなし」という合意があったんでしょう。
おそらく北海道はこれから5~10年の間に路線が一気に減っていきます。北海道新幹線の整備に伴って、函館本線の長万部~小樽間はすでに廃止が決定しました。まだわかりませんが、もしかしたら長万部~函館間も廃止の方向に議論が向かうかもしれません。ただそうすると北海道から東京へ鉄道による貨物輸送ができなくなってしまう……と、このように、地方の公共交通機関をめぐっては、とにかく後ろ向きな話が山のように積み重なっているんです。
――今回、これまでの連載の中でも屈指の希望がない回になってしまいました……。
小笠原 真剣に話すと、地域の底が割れてしまう課題です。でも早く取り組まないと、議論しているうちに地域が崩壊していくんですよ。地獄だと思わないで、現実の問題として立ち向かっていくしかない。むしろ、そういう状況だからこそ、これまでは認められなかったことに挑戦できる機会かもしれませんよ?
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