◆「落伍者」になりたくない恐怖
「ほかの信者さんたちも、似たり寄ったりです。色彩感覚が上がったとか、フワッとした感じの体験談が多かった。急に英語がしゃべれるようになるとかの、奇跡はもちろん聞いたことありません」
「つらい修業から早く逃れたい」という気持ちに加え、そこをクリアしないと教団にふさわしくない落伍者と思われるのも怖かったという。この「落伍者」も教団特有の概念だが、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)でいうところの、「教えに反する人=サタン」のようなものらしい。
サウナのプログラムについては、教団のHPではこう説明されている(以下要約)。「厳密な監督のもとで運動、サウナ、栄養摂取が行われ、十分な休息も含んでいる」「デトックスと、薬物の毒素による精神的影響が取り除かれる」ーー見ると聞くとは大違い。現場の実態は、ぜんぜん違うものだった。
そうしてみずから精神性を高めるプログラムを受けつつ、信者を増やす活動、すなわち勧誘活動も必須とされる。当然、ノルマつき。
「表参道のファーマーズマーケットや乃木神社が、格好の狩場でしたね。お金を持っている、意識高い人たちが集まっていたから。ビジネススクールが定期的に開催していた、経営者交流会も勧誘の場です。参加者に響きそうな経営哲学の話をしたりして、興味をもってくれそうな人がいたら『心理カウンセリングしませんか?』と誘います」