次第にストレスが増えていく修一にとって、精神的な支えとなっているのが莉奈だった。修一が働いている間、部屋で寛いでいる莉奈だったが、「莉奈がいるからガンバロー!」と修一には思えた。だがそれは修一側の視点であって、別の見方をすると、自分よりもダメダメな存在の莉奈がいることで、修一は安心感を得ているようにも映る。意識高い系男子の修一は、無意識のうちに恋人の莉奈に対してマウンティングしている状態だった。

 大手出版社に勤める高校時代の先輩・今日子(松井玲奈)に再会した修一は、執筆中の小説を今日子の会社が主催する新人賞コンクールに応募してはと勧められる。莉奈と違い、今日子は大人の女性の落ち着いた雰囲気を漂わせていた。夢に近づいたような気になって、修一は浮かれてしまう。

 修一の帰りを待っていた莉奈に対し、「高校時代の先輩と飲んでた。男だよ」とつい嘘をついてしまう修一だった。莉奈のために気を遣った小さな嘘が、やがて2人の間にすきま風を呼ぶことになる。

 ヒロインである莉奈は、本当にダメダメな女の子だ。バイト先だった居酒屋でも、態度の悪い男性客(飯島寛騎)に対して、きちんと注文を確認していればトラブルを招かずに済んだはずだった。転がり込んだ修一の部屋でもゴロゴロしているだけで、新しい仕事を探そうとはしない。率先して、家事をすることもしない。どうやら、数々のバイトをクビになり、会社の面接にも落ち、生きること自体に疲れてしまっているらしい。時々、ツイッターで呟いでいるだけの毎日を送っている。