とはいえ、信長と家康といえば、戦国時代ではまれに見る長期間の“友好関係”を保っていたことで有名です。織田家と徳川家の間には、「桶狭間の戦い」以降、締結された時期には諸説あるものの、通称「清洲同盟」という友好同盟が固く結ばれており、これは天正10年(1582年)6月の信長の死まで、約20年の長きに及びました。ドラマでは信長が怖くて、破りたくても破れなかったと説明するのかもしれませんが……。

 「桶狭間の戦い」の後、家康は徐々に今川氏真ひきいる今川家を裏切る姿勢を見せることになるのですが、「清洲同盟」のおかげで織田家からの攻撃を危惧することなく、今川家からの“独立戦争”を戦うことができたのでした。また、家康が駿河に残してきた瀬名姫と嫡男・竹千代などの家族を引き取るための交渉を堂々と行えたのも、信長の後ろ盾あってのことでした。この同盟についてはドラマでも確実に触れるでしょうから、そのときに詳しくお話できると思います。

 ただ、『どうする家康』の信長は悪役として描かれそうですね。徳川家康をいじめる極悪人・信長というイメージは、江戸時代に幕府の手で広められたものなので、その意味ではドラマは史実に忠実といえるかもしれません。徹頭徹尾“第六天魔王”な信長が本作では見られるのでは?という期待が広がっているようです。