しかしそれでも宮崎駿はいつもの通り口出しをしようとしてきて、初期の段階で公開されたマーニーがこちらを見ているという画の宣伝ポスターに『いまどき、金髪の女の子で、お客さんの気を引こうなんて古い!』と怒っていたそうな。だから宮崎監督、そういうところがよくないんですよ!

 ひょっとしたら、自分がやってこなかったものに果敢に挑戦する米林監督にジェラシーを感じていたのかも。

 それらのプレッシャーを乗り越えて完成した作品はマーニーの過去を杏奈が追体験することで、過去のトラウマから決別し、一人の人間として新しい一歩を踏み出すというクライマックスで、まさに新時代のジブリを祝う旅立ちの一歩なのだ。

 そして米林監督は本作の後、ジブリを退社してその志を受け継ぐ制作会社スタジオポノックを設立した。

 巨匠の志はジブリの外で受け継がれる。