さらに杏奈とマーニーのヒロインは世間に居場所がなく、共に「あなたの方がずっとまし。私はあなたになりたかった」と思っている、とにかくここまで生き辛い様子なのもジブリにしては珍しい。
原作はイギリスの古典児童文学だが、海外の児童文学によくある不幸な生まれ、境遇に翻弄される少年少女ものの王道だが、次代のジブリを担う作品のヒロインがここまで生き辛いのは、会社内の事情も影響されているとはいえないだろうか。
宮崎駿、高畑勲という二人の巨匠を抱えたスタジオジブリはこれまでに二度、次の世代を担う才能二人にバトンタッチする機会があった。その二人は近藤喜文と細田守だ。
近藤は『耳をすませば』の監督として成功したが、これが最後の監督作となり数年後に病没した。