引っ越してきた一家の娘、彩香は杏奈を見て「あなたがマーニーでしょ?」と尋ねる。彩香は家で見つけた古びた日記にマーニーのことが書かれており、以前屋敷から杏奈が出てくるのを見たため、勘違いしたのだった。しかし日記の内容はマーニーと杏奈が体験した思い出が綴られていた。マーニーは現実から逃避するために杏奈が脳内で作り出した幻、イマジナリーフレンドだったのか?

 このような話の流れからもうかがえるように、本作は従来のジブリ作品にはなかった、異質の印象が強い。

『思い出のマーニー』は心を閉ざした少女が金髪碧眼の少女と出会い、二人だけの冒険の果てに過去の出征の秘密などが解き明かされるという、ミステリー要素を含んでおり、何より杏奈とマーニー、二人のヒロインの奇妙な友情はどちらかというと愛情に近いものさえ感じられる。

 国民的アニメ作品を生み出してきたジブリの過去作品では、少年と少女(男女)の出会い、友情が多く作られてきたが、『思い出のマーニー』は女性同士の友情、愛情を描く「百合」ものを想起させる。映画のキャッチコピーは「あなたのことが大すき。」だが当初の予定では