おまけに主人公は特殊な能力の持ち主なので、スポーツマンガにありがちな「努力・修行・勝利」の努力・修行の部分の薄いこと。主人公が無双して勝利しているようにしか見えないのが残念。原作マンガの作者も最初は、無能力の主人公が悩みながら努力の結果、地道に成長していくマンガにしようとしたものの、担当編集者から「マイナースポーツで主人公が悩んだら誰も読まない」と言われて路線変更したという。
修理代は200万円ってところからもわかるように、航空部は金がかかる。金持ち学生がやるスポーツなのだ。だから平凡な悩みじゃ読者は理解しないし共感もしないので、たまきは過去に凄まじいトラウマを背負っているという設定だ。平凡な観客がドン引きしちゃうぐらいの! 大空を飛ぶ華やかさと比べて、なんてドロドロしている主人公なんだ!
こう聞くと「そんなアニメのどこが面白いの?」と言われるかもしれないが、本作の優れた見どころはグライダーが空を飛ぶシーンの爽快さだ。
筆者はアニメで空を飛ぶ描写で感動したのは「宮崎駿作品しかない」と断言できるが(次点で押井守)、それに匹敵とまではいわなくても拮抗している。グライダーがブルーサーマルを掴まえれば、すべてチャラ! 金持ち部活動の悩みとか、関係ないね! 空を飛ぶ爽快さをあなたも体験!