さらに登場人物がアップになると突然、美麗なデザインに切り替わる。突然に。これはアニメーション制作のWIT STUDIOが『甲鉄城のカバネリ』などで手掛けた、通常の絵に「化粧」を施すメイクアップという技術。
こういったビジュアル面では他の作品にない手間暇、苦労が掛けられており、見た目のインパクトは凄まじい。
一方、ストーリー面には難が多い。なぜ世界中に泡が落ちるのか、なぜ東京は『首都消失』のようなドームに包まれるのか、少年たちはなぜ立ち入り禁止区域に入りパルクールをするのか(そもそも「立ち入り禁止」になってないよ!)、パルクールを見守っている大人が数人いるが、少年たちが危険な行為をしているのをなぜ止めないのか、そして東京以外の世界はどうなっているのか……。
といった物語上の疑問にはほとんど回答が用意されていない。『魔法少女まどか☆マギカ』『仮面ライダー鎧武』など、伏線が緻密に張り巡らされた物語に定評のある虚淵玄が「本当に書いたの?」と疑いたくなる雑な脚本。