◆2本連続ネタ披露の状況を見極めて笑いに変えたテクニック
<また、2本目の冒頭、河本さんの「あるなしクイズ考えたんだよね」というセリフに対して、井口さんが「あー、たまたま大好きなんで」と返しました>
――ウエストランドは1回戦はラストの10組目、そして最終決戦の順番が1番目と、連続して2ネタ披露することに。以前なら2本目に1回戦と似たネタをやるのはよくないと言われていましたが…
<2本連続という状況を「たまたま」という短い言葉を足すだけで笑いに変え、そしてすぐに本題に入っていきました。
もしかしたら、「あるなしクイズ」の説明を入れるなど(1本目は「あるなしクイズ」の例題を出していました)、本来はもう少し丁寧な台本だったのかもしれません。
状況を瞬時に見極めて笑いを取り、会場の空気を逃さないまま本題を進める、素晴らしいテクニックだったと思います。このライブ感を笑いに変えるのが、漫才ならではですね>
◆準優勝 さや香 演技、設定、展開、どれを取っても見事
――優勝者以外で、とくに印象に残ったネタはありますか?
<さや香の1本目の、免許返納のネタは最高でしたね。ファーストラウンド1位通過なので当然と言えば当然なのですが。演技、設定、展開、どれを取っても見事でした。
また、免許返納というテーマも、固そうでありながら説教くささがなく、誰でもわかる話題。大喜利的ではない、あくまで日常会話の延長上でのボケに、ツッコミ側が熱量高くツッコむ。
2012年の「THE MANZAI」で優勝したハマカーンを彷彿(ほうふつ)とさせました>
――ハマカーンの優勝ネタでは“女子っぽい”発言に対して「おまえ女子じゃねえだろ!」などのツッコミが炸裂(さくれつ)していましたが、たしかに高度なフリートークのようでした。
<さや香もハマカーンも、「ボケ」「ツッコミ」を変えて、この形にたどり着きました。先ほどお話しした通り、ウエストランドも「ボケ」「ツッコミ」を変えています。若手芸人のみなさん、自分たちの「ボケ」「ツッコミ」を見直してみたら、そこに光があるかもしれませんよ!
また、このネタは、免許返納の話題を切り出せず困っていたご家族の助けにもなったのではないでしょうか(笑)>