漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2022」の決勝が12月18日、ABCテレビ・テレビ朝日系列で放送され、ウエストランドが優勝を果たしました。
◆「毒舌」「悪口」ネタの優勝でネット二分
ウエストランドは、決勝で披露したネタ2本とも、数多くの人やものへの「悪口」で笑いをとりました。
例をあげると、「アクション映画は色んなパターンがあるけど、恋愛映画は全部一緒」で、「さえない女の子が、ひょんなことから王子様系の男子と知り合い、良い感じになるも、イケイケの女子の恋敵が現れ、そっちに取られそうになるが、結局自分が選ばれた。やったー!こればっかりだろうが。全部一緒だから!」といった調子です。
他に「やっぱりウザい」「警察に捕まり始めている」YouTuberや「ウソついて売れようとしてる」アイドルといった有名人、R-1およびM-1グランプリ、ネタの分析をするお笑いファン、メッセージ性をこめた長いネタをするコント師といった同じお笑い業界の関係者、また、路上ミュージシャンや大阪、田舎など多方面に毒づきました。
ウエストランドについて、審査員の松本人志は「こんな窮屈な時代なんですけど、キャラクターとテクニックさえあれば、こんな毒舌漫才もまだまだ受け入れられるっていう夢を感じましたよね」と話し、立川志らくも「今の時代は人を傷つけちゃいけないという。あなた方がスターになってくれたら時代が変わる。そういう毒があるのが面白いので、これが王道になってほしい」と、「時代」との関連でコメントしました。
放送を受け、ツイッターでは「悪口漫才」がトレンド入り。ウエストランドのネタや、それをどう解釈するかをめぐって議論が繰り広げられました。
大きく2つにわけると、一方は鬼越トマホーク・金ちゃんがツイートした「人を傷つけるお笑い最高!!ウエストランドさんおめでとうございます!!時代変われ!!」に代表される、今後は「人を傷つけるお笑い」の時代が到来したと解釈する考えのもの。
もう一方は、ウエストランドのネタ自体が苦手だという投稿、あるいは彼らのネタの面白さは支持するものの、YouTuberやアイドルといった有名人や、世の中でメジャーなお笑い業界といった強者を、若手漫才師という弱者が皮肉るから面白いので、ウエストランドの笑いは一概に「人を傷つける笑い」とはいえないと考える投稿、他にも、自分がコンプラ批判したいがために彼らのネタや優勝を利用しないでほしい、という投稿もあるようです。
テクニックのある毒舌漫才とはどのように成立するのでしょうか?かつてピン芸人「大輪教授」として活動し2007年R-1ファイナリストに選出され、現在はお笑い事務所の若手芸人のネタ見せもつとめる構成作家の大輪貴史さんに、毒舌や風刺ネタについて(無理を言って)解説してもらいました。
また、ウエストランドの勝因となったネタの進化や、2位さや香と意外な共通点、ヨネダ2000ら注目コンビのレビュー、ロングコートダディらコント師の好成績についても聞きました。