◆負い目を持っている人たちの、再生の物語
佐野:私はあやさんとの対話の中で、そこから脱出する力を得たわけですが、そうした経験を、ドラマを通して伝えたいと思ったんです。そして、他者によって植え付けられた呪いや負い目を持っている人や、自分の過去を後悔していてそれを乗り越えたいと思っている人、といった登場人物ができていきました。
「冤罪」をテーマにするけれど、同時に人間讃歌の物語で、登場人物たちの再生の物語になるようにしたい、と。実は最初に、サスペンス要素は必要だけど、犯人が誰か、ということを楽しむミステリーである必要はないと思ったんです。考察を楽しむドラマはあっていいけど、わざわざ渡辺あやさんという、人間を描くことに長けた人に書いてもらうなら、事件じゃなく、人間を書いてほしいという話をして、ドラマのトーンが決まっていきました。
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登場人物の中でも、女性視聴者を身悶えさせているのが、鈴木亮平演じるエリート記者・斎藤。後編では、セクシーでムカつく斎藤が、どうやって生まれたのかを聞きました。
<文/田幸和歌子>
【田幸和歌子】
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon