◆一時期は、憧れだった仕事すらプレッシャーに

松本まりか
──先ほど、「撮影時には破綻していた」とおっしゃっていました。今年の春、1か月休みを取るまでは、どのような状態だったのでしょうか?

松本:この数年間で、これまでインプットしていたものを全部出してすっからかんになってしまって。枯渇しているけど、どう補っていいかわからない。だけど、目の前に仕事はあるからアウトプットし続けないといけない状態が続いていました。

一時期は、憧れだったはずの「雑誌の表紙をやる」や、「主演作がある」ことすらプレッシャーになってしまっていました。要は、忙しさやタスクの多さなどで自分の何もかもがアンコントロールになってしまった。それで「私はもう無理だ。才能がない」と行き詰まってしまった。自分を信じるモチベーションがなくなっちゃうと、人ってもう動けなくなるんです。

◆「ちょっと止めて、1回止まりたい」って“全魂”が叫んでいました

松本まりか
──次々と仕事が舞い込むタイミングで立ち止まるのには、かなり勇気が要ったのでは?

松本:それは、心の声に従った気がします。止まるべきではない良い波に乗れそうだったときなのに「ちょっと止めて、1回止まりたい」って“全魂”が叫んでいました。もちろん、そのまま乗っかっていく道もあったのかもしれませんが、私はこのままの仕事の仕方ではいけないと思ったんです。

長年やってきたから、「旬の時期は誰にでも起こるものじゃない。奇跡だから大切にしないと」という思いはもちろんありました。でも、それを自ら捨てていく勇気が大切だとも思ったんです。迎合せず、自ら捨てた先に本当に自分が地に足をつけて歩める人生があるはず。それが心の声でした。旬じゃなくなったときに、本当にその人が面白くないと続いていかないと思います。