離婚覚悟で不倫したけれど

ミオリさんは寂しかった。その寂しさから、会社の同僚や後輩と酔った勢いで一夜をともにしたこともある。だが、深夜に帰れば夫は寝ているし、朝帰りをしたときは夫はすでに出かけたあとだった。夫にバレて揉めてもいい、離婚となってもかまわない。そう思っても、バレる状態にさえない。

孤独感が埋められなかった。だからよけい仕事に埋没し、息抜きのように不倫をした。夫もそうなのかもしれない。それなのに心を通わせる機会をお互いに避けていた気もするという。今、振り返ればの話だが。

「35歳になるころ、子どもはどうするとタクヤに聞いたんです。すると彼は『ほしいと思ってる』と。じゃあとふたりで久々にしようとしたんですが、タクヤはできなかった。ごめんと言われて私もなんだか惨めな気分になって……」

離婚覚悟で不倫したのに、10年続く仮面夫婦関係「何かを間違えたんだと思う」
(画像=『女子SPA!』より引用)

気持ちを落ち着けるために不倫を繰り返した。一夜だけの関係もあれば、1年ほどつきあったこともある。だがなぜかどうしても離婚したいという気持ちはわいてこない。かといって、もう一度じっくり話し合ってともに進むのにも躊躇(ちゅうちょ)があった。

「心の距離は遠いんだけど、もうそれで固まってしまったのかもしれません。同居人としては不快ではないし。彼も外に女性がいるのかなと思うこともありますが、不思議と嫉妬はないんです。

最近、たまに日曜日などふたりとも休みで家にいるときがある。彼は自室にこもっている。私はリビングで本を読んで。彼が自室から出てきたときに、お茶飲むと聞くと『うん』って。おいしい紅茶があるよというと、彼がいれてくれる。一緒に飲んで、最近、どう、うん、まあまあなんて言ってまたそれぞれ自室に引き上げる。

夜は私の実家で食事をしたりもします。そういうときは変わらず絶好調で、親に対して“娘のいい夫”を演じてくれる。これはこれでいいのかななんて思うこともあります」