Amazon使っていますか?誰もが知る世界的通販サイトですが、このAmazonが赤字ぎりぎりとご存知でしょうか?しかし!その企業価値は1兆ドル超と大変評価されています。運営企業である米アマゾン・ドット・コムの時価総額は2020年2月に1兆ドルを超え、新型コロナの影響で一時株価に陰りを見せるも、間もなくビフォーコロナを超える水準に戻しています。株価の変動で左右される時価総額。主力のEC事業では赤字スレスレと言われてきたアマゾン社を、なぜ市場は好感しているのでしょうか。
主力のEC事業は「赤字スレスレ」?
Amazonは米アマゾン・ドット・コムが運営しているインターネット通販(EC)サイトで、現在では世界規模で事業を展開しています。1995年の創業時はインターネット書店としての展開でしたが、今では食品や家電などさまざまな商品を扱うECサイトとして認知されています。
ただ、同社のEC事業は長らく営業利益率が低いことで知られ、1~2%前後で推移する時代が長く続いてきました。小売業やEC事業を手掛ける企業で営業利益率が5%を超え、10%以上という企業もある中、Amazonは知名度が抜群であっても赤字スレスレなのです。
しかし、米アマゾン・ドット・コムの時価総額は右肩上がりの状態を続けています。時価総額は「株価×発行済株式数」で計算するので、株価が上昇すれば時価総額は上がり、株価が下落すれば下がります。株価は市場の期待度などを反映するため、市場における同社の支持は確実に高まっていると言えます。
キャッシュフロー計算書から見える投資攻勢
キャッシュフロー計算書は「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」で構成され、営業キャッシュフローは営業活動による現金収支、投資キャッシュフローはどれだけ投資したかを示します。
投資キャッシュフローは(資金を支出するため)通常はマイナスとなり、営業キャッシュフローに比べてどれだけ投資キャッシュフローのマイナスが大きいかを分析することで、その企業の投資に対する姿勢が見えてきます。
米アマゾン・ドット・コムのこの2つのキャッシュフローは、近年は以下のように推移しています。
2017年度
営業キャッシュフロー:183億6,500万ドル
投資キャッシュフロー:△270億8,400万ドル
2018年度
営業キャッシュフロー:307億2,300万ドル
投資キャッシュフロー:△123億6,900万ドル
2019年度
営業キャッシュフロー:385億1,400万ドル
投資キャッシュフロー:△242億8,100万ドル
2017年度は営業キャッシュフローのプラスを投資キャッシュフローのマイナスが上回っており、その後も投資キャッシュフローのマイナスは非常に高い数字となっています。米アマゾン・ドット・コムがいかに投資に力を入れているか、よく分かりますね。