米アマゾン・ドット・コムが評価されている理由

これらのキャッシュフローも踏まえ、米アマゾン・ドット・コムが評価されている理由は、主に2点あります。

クラウド部門の有望性

米アマゾン・ドット・コムは2006年から自社のクラウドサービスとして「AWS(Amazon Web Services)」を展開しています。クラウドの利用がIT業界を含めたさまざまな業界で主流になりつつある中、AWSのユーザーは増え続けました。

クラウド事業の売上規模は、同社の全部門を合計した売上高の中では、決してその比率が高いわけではありません。2019年度(2019年1~12月)決算では、同社の売上高2,805億2,200万ドルのうち、AWSは350億2,600万ドルにとどまっています。

売上規模にすれば全体の12%程度ですが、注目すべきはクラウド事業の営業利益率の高さです。営業利益率は基本的に「営業利益÷売上高」で計算されますが、AWSの利益率は実に26.2%と高い数字を示しています。

超長期的投資攻勢

米アマゾン・ドット・コムは目の前の利益よりも、将来を見据えた超長期的視点からの投資攻勢を続けていることでも知られています。そしてその投資攻勢は既に成果に結びついており、株式投資家からの厚い支持を集めています。

先ほど触れたAWSは、サービスローンチ当初は利用料を破格的に安くすることで、他社とのシェア争いを優位に進めました。最初はほとんど利益が残らず、先行投資としてコストがかさんでも、将来的にそのサービス市場の覇者になれればよいという考え方です。

こうした米アマゾン・ドット・コムの先行投資に対する姿勢は、前述のように同社が公表している財務諸表の一つであるキャッシュフロー計算書の数字からも読み取ることができます。

米アマゾン・ドット・コムの今後に注目

超長期的投資攻勢で成果を残し、今後のAWSの急成長をテコにさらなる時価総額の向上も期待されている米アマゾン・ドット・コム。こうした視点から決算書や財務諸表をより分析的に読むことで、今後の戦略にも注目していきたいところです。

提供・UpU

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