◆同じ経験をしたカウンセラー

カウンセラー
「流産は悼(いた)んでよいことなのです」と言われたことがあります。近所の助産師の言葉で、今でも心の支えになっています。ドイツでは助産師が妊婦の流産・死産の心のケアをできます。健康保険対象のサービスなので、私はまだ<冷静なふり>をしていた時期に二回カウンセリングを受けに行きました。(※3)

 上記のような心境について話したり、病院での体験を述べたり、話せば自然と涙がこぼれて会話を中断しました。ママ友数人の食事会で、妊娠後期の人がいたため赤ちゃんの話題が多く辛かったことなども話しました。

 カウンセリングは1回約1時間。目の前の助産師は私の話をただそのまま受け止めてくれました。

 そしてその人自身も3度目の妊娠が流産だったこと、既にいた子供2人に隠さず話したこと、しばらくは夫と思い出の場所に散歩することを追悼の日課にしたこと、など彼女流の立ち直り方法を教えてくれました。あくまで参考のために私に強要することなく、優しい言葉で話してくれました。

(※3 本記事の医療監修・水谷医師のコメント「日本にはこのような制度・習慣がありません。流産後の胎児組織は検査に提出されたまま「保管」され続けるか、医療廃棄物として「破棄」されています。流産後の心理的なケアの重要性は一部叫ばれてはいますが、制度化されておらず保険診療の適応もありません。少子化対策の一環として、流産経験者もまた前向きになれるよう支援する政策が必要だと常々感じています。」)

◆亡くした赤ちゃんと本音で<向き合う>

泣く
 カウンセリングで聞いた追悼方法のアイディアをどう利用しようか考えていると、あることを思いつきました。娘も夫も寝た後に、子供部屋に行って亡くした赤ちゃんに話しかけよう。亡くした子の魂を感じたいから、などの幽霊現象を期待していたからではありません。ただ、頭の中で回る思いを声に出して、言葉にしたかったからです。

 私は子供部屋に行き、椅子に腰かけ、「あのね」と子供に話しかける口調で産めなくて悪かったこと、生まれていたら素敵なお姉ちゃんがいたこと、そのお姉ちゃんは兄弟がほしくて小さい子の面倒見が良いこと、候補にあった名前、などいろいろさらけ出しました。このような10分ほどのモノローグを日を空けて3回行いました。

 その後はもう全て吐き出したような感覚を覚え、繰り返すことはありませんでした。この行為で助産師にも言われた死を悲しむ重要性を具現化したのだと思っています。やっと自宅でも大量の涙を流すことができました。