次に「日本の読者にとっての価値」を見ていきます。たとえ10年前の原書でも、日本でまだ紹介されていないのであれば、それは日本の読者にとっては新しい情報です。だから翻訳する価値があると考えられます。
たとえば、もしZOOMが世界中で使われているのに日本ではまだ使われていない状況であれば、活用法についての本も、日本の読者に求められるでしょう。
普遍的な内容の本の場合は日本にも読者がいるはずですが、普遍的なだけに、同様の本がすでに出ているかもしれません。その場合、類書をていねいに検討したうえで、その本だけが持つ強みを考えていかなくてはなりません。さらに、その普遍的な内容を「現在の日本」という文脈に当てはめて、どう提示していくかも考えてみましょう。
原書の内容への関心が高まっていたり、当然あっていいはずなのにまだ翻訳されていない、翻訳が待たれている本だったりすると、比較的企画を通しやすくなります。
新しい理論やメソッドを提唱する原書の場合、関連団体が日本にあれば、アプローチしてみましょう。講座が開催されていれば、出版翻訳された際にそこでテキストとして使用してもらえると理想的です。まとまった部数の売り上げが見込めるため、編集者さんに企画を提案するときの説得材料になるからです。団体の代表者に監訳で関わってもらうなど、関連団体の支援が得られると、企画を通すうえでも心強いと思います。
「その原書自体の価値」と「日本の読者にとっての価値」を検討したうえで、日本で出版しやすい状況をつくることも考えながら進めていくといいのではないでしょうか。ご参考になれば幸いです。
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