西田敏行さんは“大師匠”
――今後、30代後半、40代と、どのように仕事と向き合っていきますか?
濱田:今回、共演したイッセー尾形さんを見て思うのですが、素敵な大先輩たちって技術はもちろんのこと、やっぱり魅力的で人間性も素敵なんです。もっともっと修行しなければ、イッセーさんのレベルには追いつけない。僕は西田敏行さんを大師匠だと思っているので、あの大師匠のようになるには、まだまだ修行がいります。
本当に長くお芝居を続けられている方々って、結局は人間力ではないかなと思うんです。経験則ですが、お会いしてセリフのキャッチボールをして、そう思います。
――素敵な先輩たちとの人間性の素晴らしさと同様に、濱田さんのように受け継ごうとする姿勢も素敵なことだと思います。
濱田:これも9歳のときなのですが、ある作品で共演した蟹江敬三さんに「どうだ?ドラマの反響は?」と聞かれたことがありました。「写真撮ってと言われる。指をさされる」と言うと、「それはお前が頑張った証拠なんだ。だけどな、お前のことを100人が好きなら、大嫌いな人はその倍以上いると思え」と言われたんです。
あの当時は「なんでこのおじさんは意地悪を言うのかな?」という感じでしたが(笑)、やがて多感な思春期を迎えるようになり、特有の浮足立つ感じになって、蟹江さんの言葉がリフレインしてきたんです。そこでハッとした。去勢手術じゃないけれど、僕の伸びるだろう鼻はもう取られていたんだと。
それも今だに大事な金言なのでポッケに入れていますし、儲けることよりも人間力を養うことのほうがこの仕事にとって大事だなと思っています。もしも将来別の仕事に就くとしても、そこは問われるところではないかなと思いながら、今は現場を楽しく過ごしています。
© Rayark Inc./「DEEMO THE MOVIE」製作委員会
<取材・文/トキタタカシ>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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