今はお返事を待っているところだというTさんですが、こんなご質問が……。「もし半年くらい待ってもご返事がない場合は、次の出版社に持っていっても問題ないと思われますでしょうか?(私が直接持ち込んでいるわけではないので、なかなかこちらからは聞きにくい、ということもございまして……)」

「そ、それはNGです!」と思い、あわててTさんにお返事をしました。その中で、半年くらい待ってもお返事がない場合は、リマインドすることをおすすめしました。編集者さんのご連絡先を教えていただいているなら、直接その編集者さんに。いただいていなければ、持ち込んでくださった翻訳家の方を通してリマインドすることです。

黙って他社に持ち込んでしまうと、その後すぐA社で企画が通った場合、A社にも、他社にも、とても失礼なことになってしまいます。これは前回のHさんのレポートでも詳しくお伝えしていますので、ぜひご参照いただきたいと思います。

それだけではなく、持ち込んでくださった翻訳家の方の顔をつぶすことにもなってしまいます。その方が編集者さんからの信頼を失うなど、お仕事にも悪影響を及ぼしかねません。間に人が入っている場合は特に、慎重に確認するようにしましょう。

同時に他社に持ち込まないというのは暗黙のルールなのですが、「暗黙の」ルールなだけに、やはり認識できていない方が多いようです。先日も、ある編集者さんとお話していた際に、「そういうことをしちゃう人がいるんだよね」と、「困ったもんだ」というニュアンスでの発言がありました。ルール破りは、やはり印象が悪いのです。

ルール破りをしてしまうのは、待ち遠しい気持ちがあるからだけでなく、認識の違いが理由として大きいように思います。きっと、就活で言うなら、エントリーシートを送るような感覚なのではないでしょうか。だから、可能性のありそうなところに同時にたくさん……という発想になるのでしょう。だけど持ち込みは、いわば最終面接なのです。そう捉えると、心構えも変わってくるのではないでしょうか。暗黙のルール、しっかり認識しておいてくださいね。

Tさんの進捗は、また追ってレポートしていきます。どうぞお楽しみに!

※現在発売中の『ゆうゆう』10月号の「繰り返し読みたい本」の特集に登場しています。シチュエーション別のおすすめ本など、読書の秋のご参考になればうれしいです。

出版翻訳家デビューサポート企画レポート㉚
(画像=『HiCareer』より引用)

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