安く住めるというイメージが定着している田舎暮らしですが、意外なところにお金がかかりやすくなっています。この記事では、田舎暮らしに伴って変動する費用の例、2人暮らしの初期費用・生活費・年間費、節約するためのコツについてレクチャーしていきます。
田舎暮らしで増える費用・減る費用
田舎エリアと都市部では、生活にかかるコストが異なります。実際に田舎暮らしを始める前に、以下の増える出費と減る出費について理解を深めましょう。
・住宅費は安いが修繕費用は高くなりがち
・古民家など気密性が低い家は冷暖房費が膨らみやすい
・車社会の田舎ではガソリン代もばかにならない
・自治会費・町内会費も支払う必要あり
・家賃は都会と比べて圧倒的に安い
・食費は家庭菜園や直売所購入で低く抑えられる
住宅費、光熱費、ガソリン代、自治会費や町内会費、食費など、コストに変動が見られる箇所はさまざまです。田舎暮らし=格安で暮らせるというイメージを持つ方は、田舎に移住することで発生する出費についても考えてみましょう。それでは、各費用を詳しく説明していきます。
住宅費は安いが修繕費用は高くなりがち
田舎暮らしをすることで減る費用に、住宅費が挙げられます。築年数の古い物件が多い田舎エリアでは、古民家や空き家を低価格で借りることができます。中には無料で譲渡される物件もあることから、都市部よりも住宅費を節約しやすくなっているのが特徴です。
一方で修繕にかかるコストは、田舎エリアの方が高額です。格安や無料で取得できる物件は、家の状態が悪い傾向にあります。内装、外装、水回りをはじめとする大規模なリフォームが必要となるケースが多いことから、田舎暮らしをすることで修繕費用がかかる点に注意しましょう。
古民家など気密性が低い家は冷暖房費が膨らみやすい
古民家で田舎暮らしをする場合、光熱費がかさみやすくなっています。レトロでクラシックな雰囲気を持つ古民家は、田舎エリアで人気が高い住宅のひとつです。耐久性が高い、低価格、間取りが広いといった特徴を持つ古民家ですが、屋内の気密性が低いというデメリットも兼ね備えています。
すきまや窓ガラスの数が多い古民家は、夏は熱気や直射日光が溜まりやすく、冬は冷気が入り込みやすい住宅構造です。また、築年数が古いことから、リフォーム済みの住宅以外は断熱性が低いのも特徴です。年間を通して冷暖房設備をフル回転させる必要があるため、田舎暮らしを始めることで光熱費が高くなりやすいというデメリットが見られます。
光熱費の上昇を抑えたい場合は、リフォームが施された古民家やアパートを選ぶなど、気密性の高い住宅を選択肢に加えることがポイントです。
車社会の田舎ではガソリン代もばかにならない
ガソリン代は、田舎エリアへ移住することで出費が増えやすい費用の代表例です。
都市部のような利便性を兼ね備えていない田舎エリアに住む場合、車なしでの生活は非常に困難です。徒歩圏内に生活利便施設がない、公共交通機関が不十分といった理由から、田舎暮らしをする住民は車を主な移動手段として活用しています。
買い物や通院をはじめとする日常の用事を済ませる際はもちろん、仕事の往復、子どもの送迎、休日のお出掛けにも車を使うことになるため、都市部よりもガソリンの消費が早い点に注意が必要です。ガソリンの消費が早いということは、それだけ頻繁にガソリン代を支払わなければならないということです。
田舎暮らし=ガソリン代がかさむということを念頭に置いて、事前に生活費の計算をしておくよう心掛けましょう。
自治会費・町内会費も支払う必要あり
田舎暮らしをする場合、自治会費や町内会費の支払いが発生します。自治会や町内会は、任意で加入する団体です。100%加入しなければいけないわけではないので、「田舎に移住しても加入しなければ出費はゼロなのでは?」「自治会や町内会に毎月お金を払うなんてもったいない」と考える移住検討者も多い傾向にあります。
しかし、自治会費や町内会費を納めないまま田舎暮らしをすることは、移住先に馴染むチャンスを自ら棒に振ることと同じです。自治会や町内会の加入者は、定期的に地域のイベントや奉仕活動に参加する決まりになっています。頻繁に地域住民との交流があるため、移住後すぐに知り合いができる、移住先のことを色々と教えてもらえる、何かあっても自治会や町内会の後ろ盾があって安心といったメリットを得ることができます。
一方で自治会費や町内会費を支払わない場合、地域住民と親しくなる機会を失ってしまうので注意が必要です。それどころか「田舎のルールに従わない移住者」といった印象を与えてしまう可能性もあるため、田舎暮らしをする際は自治会費や町内会費を出し惜しみしないことが大切です。
家賃は都会と比べて圧倒的に安い
田舎エリアの家賃は、都市部よりも低価格ということが一般的です。土地開発が進んでいない田舎エリアには、土地代が安いという特徴が見られます。そのため、田舎エリアに移住することにより、都市部よりも大幅に家賃を節約することができます。
2021年に発表された47都道府県別の家賃調査によると、最も家賃が高いのは東京都です。2位以降は神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府と続いており、都市部やその周辺の家賃が高額であることが垣間見えます。
一方、最も家賃が安い都道府県は、鹿児島県です。次いで青森県、宮崎県、秋田県、山口県となっていることから、都市部から遠い田舎エリアの方が家賃を抑えられるというのが実情です。
「持ち家じゃなくて賃貸でもいい」「安く住めるなら家に関するこだわりは特にない」という方は、住宅にかかる費用を節約しやすい賃貸住宅での田舎暮らしを検討してみましょう。
食費は家庭菜園や直売所購入で低く抑えられる
田舎への移住に伴い、食費を節約することができます。
土地が広大な田舎エリアは、庭付きや畑付きの住宅が豊富です。気軽に家庭菜園がしやすい環境となっており、旬の農作物を自宅で育てられるというメリットがあります。食材の購入にかかる費用を日常的に節約できるので、「我が家は野菜の消費量が多いから自給自足でまかないたい」「長期的に食費の節約に繋がる場所で暮らしたい」という方におすすめです。
また、自然環境が豊かな田舎エリアでは、農業、漁業、酪農、畜産業をはじめとする第一次産業が盛んに行われています。野菜、果物、魚介類、乳製品、肉類を直売所や市場で安く購入することができるため、田舎暮らしをすることで大幅な食費の節約に繋がります。