「第7波」も到来し、長引くコロナ禍。リモートワークや会食を控えるなどの“新しい生活様式”が当たり前の日常になって早3年目ですが、無意識にストレスを抱え、胃もたれや不眠などの不快な症状でひそかに悩む人も多いようです。
かといって、この超特大ストレス要因はすぐにはなくなってくれそうにないし……。一体どうすれば?!
そこで今回は、ストレスと心身不調の関係に詳しい消化器内科医の工藤あき先生(工藤内科 副院長)に、「ストレスから自分で身を守る方法」についてレクチャーしてもらいます。
あなたは大丈夫? 不調を引き起こす“無意識ストレス負債”
――新型コロナの感染拡大以降、周りにも、胃もたれや不眠、メンタルの不調を抱えている人が増えた気がします。
工藤あき先生(以下、工藤):コロナ対策や社会活動の自粛を「当たり前の日常」と思いながら過ごしている中で、知らず知らずのうちにストレスを溜めている人、つまり“無意識ストレス負債(ふさい)”を抱えた人が多いということですね。
ストレスはそもそも自覚しにくいものなのですが、ストレスを受けている状態が長く続くと、身体が先に悲鳴を上げ始めてしまうことがあります。ストレスがかかったことで心や身体に生じる、胃の不調や不眠などの様々な反応を「ストレス反応」といいます。
――ストレスを溜めやすいのは、どんなタイプの人ですか?
工藤:個々の性質以前に、もともと日本人は、欧米人や他のアジア人に比べてストレスを受けやすいとも言われています。これは幸せホルモンと言われる、セロトニンの分泌量を左右する遺伝子の違いによるものです。
その中で「自分がしっかりしなければ」というタイプの人ほど、「まだ大丈夫」と気合で乗り切ろうとして、無意識にストレスを溜め込んでしまいます。こうした人ほどストレス反応が重症化しやすいので注意が必要です。長引くコロナ禍で、今後こうした“無意識ストレス負債”を抱える人はさらに増えるリスクがあるため、心身の変調には「早めに気づくこと」が大切です
今すぐやってみて! 無意識ストレス負債度チェック
――今の自分がストレスを抱えているかどうかって、どうしたらわかるんですか?
工藤:ストレスが長期化すると自律神経や内分泌系などにも影響を及ぼします。その結果、「身体面」「精神面」「行動面」の3つにさまざまな症状が“ストレス負債のサイン”として表れます。
ここに、そのサインをもとにした簡単なチェックリストがあります。当てはまる項目が多い人ほど、無意識ストレス負債である可能性があります。ストレスが長期化・重症化する前に対策できるよう、ぜひこまめにチェックしてください。
【いくつあてはまる? 無意識ストレス負債度チェック】
●身体面
□胃痛 □胃もたれ □腹部膨満感 □下痢 □便秘 □アレルギー □めまい □動悸 □頭痛 □肩こり、腰痛 □だるい □息苦しい □のぼせ、冷え
●精神面
□イライラ □不安感 □抑うつ □不眠 □注意力散漫
●行動面
□仕事上のミスや事故 □暴飲暴食 □拒食 □浪費が増える □運転が荒くなる □身だしなみに気を使わなくなる
あてはまるチェック項目の数が…
0~1個 :ストレス負債度0
2~3個 :ストレス負債度1
4~5個 :ストレス負債度2
6~7個 :ストレス負債度3
8~9個 :ストレス負債度4
10個以上:ストレス負債度5
工藤:いかがでしたか? ストレス負債度が0~1の人は今のところ無意識ストレス負債の心配は少なそうです。ご自分でストレス対策ができているのかもしれませんね。
ストレス負債度が2~4の人は要注意。無意識ストレス負債を抱えているかもしれないことを念頭に、日常でできることから対策をしましょう。
そしてストレス負債度が5の人は、すでに無意識ストレス負債を抱えている可能性大。早めに医療機関へ相談してください。