脅威の労働力を誇るアイルランド、若年層の8割、高齢層の4割以上が労働

首位のアイスランドは、なぜこれほどまでに多くの高齢者が仕事を続けているのか。そもそもアイスランドは突出した労働力を誇る。15~24歳の若年層が(82.5%)日本の主要労働年代を上回る勢いで労働市場に参加している—という事実にも驚かされる。

この傾向は25~54歳にピークを迎え(91.9%)、55~64歳になってもほとんど衰えを見せない(86.3%)。それゆえに65歳を過ぎても5人に2人が仕事を続けている(40.2%)という、たぐいまれな社会環境ができあがっているのだろう。アイスランドもやはり失業率が低く(3.0%)、やはり労働意欲が飛びぬけて盛んな国民であることは確かだ。

2位の韓国も失業率は低いものの(3.8%)、働き盛りの25~64歳の労働力(各78.8%、68.0%)が日本やアイスランドより若干落ちる。韓国で働く高齢者の割合が高い理由のひとつは、そこにあるのかも知れない。

3位のコロンビアはまた違った背景がある。25~54歳まではバリバリ働くが(84.8%)、55~64歳になると2割以上減り(66.5%)、65歳以上も働き続ける(30.3%)というパターンだ。すべての年齢層を通して失業率(9.3%)も高い。

失業率が高くても、老後貧困には陥りにくい?

アイスランドは例外として、ランキングを通して目立つのは欧州の高齢者の労働率が低いということだろう。ノルウェーやスウェーデンなどが20%以下、デンマークやオランダは10%以下、スペインやイタリア、ベルギーなどでは5%以下だ。スペイン(19.6%)、イタリア(11.7%)は失業率も高く、ベルギー(7.81%)もけっして低いとはいえない。

しかしEurostatが2016年のデータに基づいて各欧州国の「貧困におちいる危険性」を予測した調査によると、これらの国の高齢者が貧困に苦しむ危険性が、高齢者の労働率が高く失業率が低いほかの欧州国より高いというわけでもなさそうだ。3カ国の高齢者の貧困リスクが20%以下であるのに対し、例えばエストニアは40%近い。このあたりはやはり、高齢者が暮らしていきやすい環境の差のほか、世代による経済格差が起因するのだろうか。

「余生はゆっくり過ごしたい」「労働が生きがい」「お金がない」?

ランキング結果は高齢者の労働に対する各国の異なる見解を反映している。欧州の大部分では「若い時に一生懸命働いたから余生はゆっくり過ごしたい」と考える高齢者が多いのに対し、ほかの地域では「労働が生きがいになる」と考える高齢者も多い。 また「年金では暮らしていけない」と生活のために仕事を続ける高齢者も少なくないはずだ。

高齢化社会と労働は多くの国にとって重要な課題である。「労働で体を動かし収入を得る」という姿勢は健康や経済に大きく貢献してるが、いくら高齢者の労働意欲が高くても、身体的に負担がかかるようでは働けないといった問題もある。

日本だけではなく英国や米国など多くの国で年金支給開始時期が引き上げられている近年、高齢者が肉体的・身体的な負担を感じず、安心して働ける環境整備は必須となるだろう。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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