私が日ごろ担当するCNNのニュース現場では、ブースに一人で入ります。つまりサポートをしてくれるパートナーがいないのですね。よって、担当する時間帯の訳語の責任はすべて自分一人で担うことになります。その場合、絶対に避けたいのが「完全なる誤訳」。つまり、不注意や勘違いにより間違えた訳語を口にすることはできないのです。

一方、理想は2の「大正解の訳語」です。いちいち辞書を引くことなく、聞いた先からどんどん同時通訳で正しい語に置き換えることです。自信をもって訳出していくことが肝心です。

とはいえ、「ヒト通訳」は機械ではないため、様々な要因で訳語が出てこないもの。ちょっとした瞬間に集中力が途切れたり、咳き込みやくしゃみ、空腹などの生理的現象で脳内訳出モードが停止したりすることもあります。だからこそ、「まあ間違ってはいないよね」という意訳で乗り切ることも大切なのです。

「1:2:7の法則」は人間関係を表すものですが、私にとって「1:2:7@同通現場」はいわばエネルギー配分のようなもの。「2=正しい訳語」に集中しつつ、「7=概ね正解」の部分にも注力できるよう、体力を使いたいと思っています。間違っても「1=完全なる誤訳」の罠に引きずり込まれぬようにしつつ・・・。

(2022年8月9日)


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