新型「高級SUVラッシュ」?市場の需要に対応

「伝統」と「流行」の狭間で戸惑いつつも、両ブランドは市場の需要に応えるべく新たな方向性を打ちだしている。メルセデスよりもSUV開発の経験が長いBMWは、昨年3代目「X3」を発売。今年3月には新型「X2」(日本は8月)が市場に出回るほか、「X4」「X5」の新型発売も計画している。また年末にかけて「X7」の生産も開始する。

ドイツ本社は米国市場の需要に見合うSUVの在庫を確保すると宣言しており、「今年中にはSUVの売上が自社ブランド全体の55%を占める」と予想している。

メルセデスベンツはGLCの在庫を増やすほか、年内から来年にかけてGクラスやGLEの新型が披露あるいは販売開始となりそうだ。新型コンパクトSUV発売の可能性についても報じられているが、これについては正式な発表に至っていない。

こうしたたたみかけるような戦略が、セダンの売上をさらに押し下げることは避けられないだろう。リンドランド氏は「少なくとも米国の消費者にとっては、メルセデスベンツとBMWの主力商品はSUVという時代がきた」と述べている。

Audi、キャデラック、レクサスも売上の過半数がSUV

SUV人気に影響を受けているのはほかのブランドも同じだ。SUVが各ブランドの売上を占める割合はAudiが53%(4ポイント増)、キャデラック68%(9ポイント増)、レクサス66%(7ポイント増)と、いずれも過半数に達している。

SUVは1990年代にフォードやジープが率先し一大ブームを巻き起こしたが、消費者の間でエコ意識が広がるにつれ、「無駄に車体が大きい」「燃費が悪い」などの理由から、数年前まで人気は下火となっていた。

しかし多様性・利便性を追求する消費者の要望に応え、軽量化したSUVが開発されると、たちまちSUV熱が再燃した。次世代SUVには日本メーカーや欧米の高級車メーカーも参戦し、都会生活でも無理なく乗り回すことができるコンパクトSUVなども登場。選択肢が広がったことで、さらに幅広い層の消費者にアピールすることとなった。

高級車メーカーが米国市場に次いで注力している中国市場でも、小型SUVの需要が拡大している。ただし現時点では上汽通用五菱汽車の「五菱宏光S3」、長城汽車の「ホーバーH6」「ホーバーM6」など、国産のエントリーモデル(ブランド全モデル中最廉価車)が圧倒的な人気を誇るという。高級SUVに関心を向ける新たな戦略が必須となりそうだ。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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