覚悟を決めてフリー通訳者になったものの、迷いは続きました。そして一度だけ「やっぱり組織人にならないと将来が不安」との思いで再就職をしたことがあります。しかし1カ月で音を上げました。満員電車、毎日毎日同じことの繰り返し、職場の人間関係など、やはり自分にはことごとく向かないと改めてわかったのです。
それを機に私は腹をくくり、フリーで生きていこうと決め、ずいぶん年月が経ちました。世間からは「老後2000万円」「終活のやり方」など、未来に向けて様々な文句が聞こえてきます。一つ一つに耳を傾ければ、私は準備万端状態ではないかもしれません。
それでもなお、私は通訳という仕事が好きなのです。肉体的にハードであったとしても、毎回新しい話題を猛勉強するのが生きがいなのです。学びや仕事が私から奪われてしまったら、とても悲しい。ゆえにこうした思いが私を今に至るまで突き動かしてくれているのだと思います。
世の中には様々な働き方があります。「生き方」に絶対的正解がないのと同様、仕事にも「これが唯一正しい」というものは存在しません。一度しかない人生です。しかも現在の健康状態や頭脳回転状況が永続するわけでもありません。だからこそ、自分が納得した人生と働き方をしっかりととらえ、正々堂々と歩み続けたいと思います。
(2022年7月19日)
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