3.毛の種類ではなく毛の長さで周毛期は異なる

どんな犬の毛も、一定のサイクルで発育と脱毛を繰り返しています。
このサイクルを「毛周期」といい、【成長期】→【退行期】→【休止期】の3期からなります。
休止期が続くと、やがて古い毛の奥に新しい毛が生え始め、古い毛を押し出して脱毛が起こります。この仕組みは人と同じですね。
毛周期には犬種差や個体差があり、それによって抜け毛が多かったり少なかったりします。

そこで、質問です。マルチーズやヨークシャー・テリアなどの長毛種と、ビーグルやラブラドール・レトリーバーなどの短毛種では、どちらが抜け毛が多いでしょうか?

正解は「短毛種」。
長毛種は毛周期が長く、毛が伸びる成長期が長く続くため、抜け毛は比較的少なめ。対して短毛種は毛周期が短く、短期間で毛が抜け変わるため、抜け毛が多くなるのです。
もっとも長毛種は、そのぶん被毛が汚れたり、毛玉ができたりしやすいため、こまめなブラッシングが必要です。抜け毛が少ないからといって、お手入れがラクなわけではありません。

4.異常な脱毛を見分ける2つのポイント

異常な脱毛を見分けるポイントは、次の2つになります。

ポイント1.周毛期の異常
ポイント2.毛包の異常

毛周期による日々の抜け毛、季節の変わり目の換毛などは、健康な犬に起こる自然な現象ですが、なかには病気によって毛が抜けることもあります。病的な脱毛には大きく2つの原因が考えられ、周毛期や毛包の異常が見られます。

ポイント1.周毛期の異常
1つは毛周期の異常で、本来の毛周期と異なるサイクルで一度に多くの毛が抜け、脱毛に左右対称などの規則性がある場合。5~6歳以上で比較的よくみられるのは、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症などの内分泌(ホルモン)疾患によるものです。 その他、手術や体調不良による身体的ストレスや、生活環境の変化による精神的ストレスなども、毛周期に変調を来す原因になります。

ポイント2.毛包の異常
もう1つは、毛包と呼ばれる毛の根元の異常で、皮膚や毛に受けたダメージから、部分的または規則性のない脱毛が起こる場合。原因の多くは細菌やカビ、ダニなどによる感染症です。それ以外では、自己免疫疾患、腫瘍、外傷などが考えられます。

その脱毛が、病気かそうでないかを判断するのは難しいものです。
気になる脱毛があれば、動物病院で相談しましょう。
どんなふうに脱毛しているかをチェックしておけば、受診の際に手がかりとなります。


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