みんな同じ経験者だから本音で話せた
――自助グループでの活動を始めて、一番「助けられた」と感じたのはどんなところでしょうか?
最上「孤独から救ってくれたことです。自助グループの関わりは、お酒を介した飲みニケーションとは全く違うもの。お酒の場では本音を話せる場所ではなくて、むしろ本音を隠しながらそこにいるような感覚すらありました。それが、自助グループでは私の本当の気持ちをわかってくれてた。みんな同じ経験者だから、すんなりそこに溶け込めたし、自分の感情を出しやすかったんでしょうね」
印象的だったアルコール依存症同士のカップル
――本の中にも自助グループの仲間たちが何人も登場しますが、そこには描かれてはいないけれど印象深かった人はいますか?
最上「そりゃあ、いっぱいいましたよ! 特にインパクトが強かったのは、アルコール依存症同士のカップルですね。分かり合えて一緒にいれるんだと思ってたんですけど、結局は上手くいかなかったんですよ。何というか、お互いがお互い、お酒を飲むきっかけになってしまうというか……」
――同じ依存症同士だからこそ、お互いがトリガーにあり得る関係だった、と。
最上「アルコールだけでなく、恋愛としても依存し合ってたから、もうグッチャグッチャになっちゃったんですよね。共感はあっても、その分だけこじれた場合の激しさが凄まじい。自助グループは、回復した人が飲んでる人を助けるという側面もあるのですが、カップルの喧嘩の最中に夜中でも呼び出されていたし、『別れた方がいい』ってみんながアドバイスしてました。結果、先に女性の方が来なくなってしまって、最終的に彼氏も別のエリアに移っていきました」