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2018/09/14

女性が年金でトクする方法とは?

(写真=VGstockstudio/Shutterstock.com)
(写真=VGstockstudio/Shutterstock.com)
 (本記事は、西村利孝氏監修・自由国民社の著書『あなたの年金がすべてわかる2019年版』自由国民社、2018年9月1日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『あなたの年金がすべてわかる』シリーズ】
(1)年金ちゃんと分かってる?ここできちんとおさらいしよう
(2)なぜ今のうちに「もらえる年金額」を知っておく必要があるのか?
(3)退職金は一括、繰り下げ支給——賢い年金の受け取り方
(4)年金収入は毎年同じとは限らない——生活設計の見直しに注意しよう
(5)女性が年金でトクする方法とは?

※以下、書籍より抜粋

女性が年金で得する方法

女性の年金も基本的には男性の場合と同じです。しかし、年金制度の経過規定により異なるもの、あるいは運用上女性に適用されるケースが多いものがあります。こうした女性を主とする年金の問題点および注意点について解説します。

年金と女性の優遇

年金については、特別支給の老齢基礎年金の受給開始年齢を除けば、特に女性のみを優遇するような特例はありません。

ただし、当人(夫)が厚生年金に加入している場合、その配偶者(妻)は第3号被保険者となり、保険料を支払うことなく老齢基礎年金の受給資格期間となる規定があります。

この規定は女性が厚生年金に加入している場合には配偶者である夫にも適用され、男女とも同じですが、主婦として妻が第3号被保険者となるケースが多いことから「第3号被保険者」は妻と誤解されている面もあります。

とはいえ、妻が第3号被保険者は圧倒的に多いというのも事実です。

その他の女性の年金の問題

遺族年金も女性が受給するケースが多いことから、女性にとって重要な年金と思われています。

遺族年金は年金加入者の死亡により、その遺族(配偶者や子など)に給付される年金ですが、夫が厚生年金で妻が第3号被保険者のケースも多く、また、妻より夫が先に死亡することが多いことから、現実には妻が受給するケースが多いのです。

もし、妻が厚生年金で夫が第3号被保険者等の場合、妻が先に死亡すれば夫が遺族年金を受給することになります。

また、離婚に伴う年金分割でも同様のことがいえます。

離婚における年金分割は婚姻期間中の厚生年金の納付記録の分割であり、納付記録に記載されている金額の多い方が、他方配偶者にその記録分に相当する老齢厚生年金を分割して渡すというものです。

これも、夫の側が老齢厚生年金が多い場合が多いことから、女性が得すると思われがちですが、妻の老齢厚生年金を分割するケースだってあり得ます。年金分割は離婚に伴う財産分与の一つなのです。

他にも、女性特有の問題として出産などに伴う休暇の問題がありますが、これは年金の問題ではなく、主に雇用(保険)にかかわる問題です。

カラ期間は年金の受給資格期間にカウントされる

女性に有利な「カラ期間」

主婦が主に問題となる受給資格期間に、「カラ期間」と「第3号被保険者」があります。まず、「カラ期間」について説明します。

老齢基礎年金を受給するためには、原則として10年間保険料を納める必要があります。

この10年の期間には入る(合算対象期間)が、年金額には反映されない期間のことを「カラ期間」といいます。

この期間は保険料の納付はされていません。

「カラ期間」は、主婦(配偶者)の場合で言えば、「昭和36年4月から昭和61年3月までの間に配偶者(夫)が厚生年金保険、船員保険、共済組合に加入している間、本人が国民年金に任意加入できたのに加入していなかった期間(婚姻期間に限る)」のことです。
 
なお、昭和61年4月以降は、主婦は夫の扶養配偶者として第3号被保険者となる制度が設けられましたので、その後は「カラ期間」の問題はありません。

年金記録を確認しよう

旧社会保険業務センターから送られて来た「年金特別便年金記録のお知らせ」には、「合算」と表示されています。

「カラ期間」を含めて10年の加入期間があれば年金を受給できます。

最近、「ねんきん定期便」が届いていると思いますが、記載漏れも考えられますので、疑問があれば年金事務所に問い合わせてください。

くれぐれも、10年間は保険料を支払っていないと思い込み、受給資格期間が足りないと勘違いして年金の請求を怠ることがないように注意してください。

昭和61年4月以降の期間はカラ期間にはなりません。

これは、皆保険制度が導入されて国民年金への強制加入となリ、サラリーマンの妻は、後述の「第3号被保険者」となったからです。

第3号被保険者はサラリーマンの妻など

自動的に受給資格者になれる

「第3号被保険者」は、サラリーマン(第2号被保険者)の妻で生計を維持している(年収130万円未満)20歳以上60歳未満の被扶養配偶者のことです。

昭和61年4月からのいわば「カラ期間」に代わる制度で、「第3号被保険者」になるためには、夫の会社を通して「第3号被保険者」の届出が必要です。

妻が「第3号被保険者」になると、保険料は支払わなくても、国民年金の加入期間となり、また、保険料を支払ったものとみなされ、65歳になれば老齢基礎年金を受給できます。

これは、夫が加入している厚生年金から妻が加入した国民年金に保険料分が拠出されているからです。

届出をしないと大損をする

このようにサラリーマンの妻(第3号被保険者)は、年金では有利になっていますが、このことを知らずに「第3号被保険者」の届出をしていない人がいます。

原則は、2年以上経過している場合は、保険料納付済期間に算入されないとされていますが、次の救済策があります。

1.平成17年3月以前の第3号被保険者となれたはずの期間については、届出日以降、保険料納付済期間に算入されます。

2.平成17年3月以降の第3号被保険者となれたはずの期間については、届出日以降、2年前までの期間は保険料納付済期間に算入されますが、それ以前の期間はやむを得ない事由がある場合に限り、保険料納付済期間に算入されます。
 
なお、第3号被保険者期間に別の年金記録(厚生年金など)が判明した場合、改めて登録をすることにより、減額等がされることなく、本来の年金が受け取れることになりました。

第3号被保険者でなくなったとき

夫が会社を退職し厚生年金の加入者でなくなると、妻(専業主婦)は第3号被保険者でなくなります。

こうした場合、届出をして第3号被保険者から第1号被保険者へ切り換えなければなりません。

この届出を怠っていると、2年より前の保険料は時効により納付することができなくなり未納期間となります。

こうしたケースが多いことから年金法の改正が行われ、第3号被保険者期間不整合の追納制度を設けて保険料を納付しなかった期間について追納することができる(最大10年)としたのです(平成30年3月まで)。

この追納の期間は終了しましたが、「特定期間該当届」をすることにより、受給期間の合算対象期間とすることができます。

ちなみに、サラリーマンの夫が1.65 歳を超えた、2.死亡した、3.離婚した、4.妻の年収が増えて被保険者からはずれたなどで、第3号被保険者でなくなった場合も届が必要となります。

年金の受給では男女で異なることがある

女性は男性より早く受給できる

老齢年金の受給は、国民年金(老齢基礎年金)および老齢厚生年金共に65歳からの支給開始ということは男女同一ですが、特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半の老齢厚生年金)については違いがあります。

「特別支給の老齢厚生年金」には、「報酬比例部分」と「定額部分」および被扶養者の配偶者等がいる場合には「加給年金」が支給されます。

このうち「報酬比例部分」「定額部分」の支給開始年齢が男女では異なります。
 
これは、旧厚生年金の受給開始年齢が男性が60歳、女性が55歳だったことに伴う経過的規定で、女性は男性よりも早く受給できるのです。

配偶者がいると年金額は増える

配偶者がいるために年金額が増える場合もあります。

前記「加給年金」がそれで、年金制度は夫婦(配偶者)についても配慮がなされています。
 
こうした男女の違いでは、特別な手続は必要ありませんが、知っておけば年金額のチェックなどで役立ちます。
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

監修者:西村利孝(にしむら としたか)
社会保険労務士・行政書士。大阪府茨木市出身。金融機関で7年間勤務後、政府系公益法人に勤務。昭和63年1月に西村経営労務事務所を設立。東京アカデミー、日本宅建等講師7年を経て、労働法律、年金、知的財産権取引方面で活躍。顧問は銀行等上場企業を中心の400社。著書に「失業マニュアル」共著(ごま書房)、「敷金と原状回復」(全国賃貸住宅新聞)がある。

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