老後に海外移住を検討している人が増えています。しかし、安易に海外移住してしまうと失敗する恐れも。その結果、人生の終盤に黒歴史を作ってしまうことになりかねません。

そこで今回は、海外居住歴を持つ筆者が老後の海外移住で失敗する人の5つの特徴をご紹介。快適に移住するために必要な準備や心構えについてもお伝えします。

老後の海外移住に失敗する人(1)事前準備が不十分な人

(写真=PIXTA)

海外移住前に行うべき事前準備はたくさんあります。それが不十分だと海外移住は必ず失敗します。中には、準備できていないと海外移住自体ができないものもあります。

そこで、移住に失敗しないために必要な事前準備について簡単に説明します。

1.ビザの取得

長期滞在ビザの取得は必須です。これがないと海外移住はできません。

老後に海外移住する場合は、年金生活者向けの「リタイアメントビザ」を発行している国がおすすめです。取得が比較的容易です。

ただ、ビザの発行に必要な条件や書類は国により違います。まずはビザの申請前に移住を予定している国の大使館や政府観光局などで情報をチェックし、不備がない状態で申請を行いましょう。

2.現地の生活情報の収集

移住前に現地の情報を集めることも重要です。

  • 移住先の国や地域の基本情報
  • 日本大使館や領事館の連絡先
  • 日本人が住む地域の有無
  • 生活に必要なものを買えるお店
  • 日本語や英語が通じる病院

など、現地で生活するために必要不可欠な情報を収集しておきましょう。

3.税金・年金・医療関係の手続き

税金、年金、医療保険に関しても事前の準備が必要不可欠です。

税金や年金については、最寄りの税務署や年金事務所で必要な手続きを取りましょう。また、病気やケガに備えて海外医療保険に加入することも必要となります。

4.お金に関する準備

海外生活は、常に為替レート変動の影響を受けます。場合によっては日本円のレートが大きく下がる場合もあるため、人によってはお金の面で失敗する場合もあります。

それを防ぐためにも、移住先には今の収入でゆとりある生活ができる国や地域を選び、そこで必要となる生活費や、お金の管理に必要な情報をチェックすることが重要です。

<主なチェック項目>

  • 家賃
  • 現地での生活費(医療費も含む)
  • 移住地で払うべき税金の金額
  • 現地の銀行情報(口座開設方法や各種手数料など)
  • 海外居住中の銀行口座の管理(インターネットバンキングがおすすめ)

    なお、アジア各国への移住では使用人の雇用が前提となる場合も多いので、その費用もチェックしておきましょう。

    老後の海外移住に失敗する人(2)危機管理意識が低い人

(写真=PIXTA)

老後の海外移住後に最も失敗しやすい人は、「危機管理意識が低い人」です

海外の国や地域では政情や治安、生活レベルが日本より悪い場合が多くなっています。そのような海外生活では犯罪などのトラブルに巻き込まれる場合もあります。

海外では常に高い危機管理意識を持ち、トラブルに備えることが必要です。それを面倒に思う人は、最初から海外移住を考えない方がいいでしょう。

老後の海外移住に失敗する人(3)柔軟性がない人

(写真=PIXTA)

さまざまな面で柔軟性がない場合も海外移住で失敗することがあります。

柔軟性がないと海外生活でストレスを抱えることも

「柔軟性がない人」もまた、老後の海外生活で失敗する可能性が高い人です。

海外では、生活環境が大きく変化します。日本ではありえないハプニングなどにも柔軟に対応できないと、海外生活は辛いかもしれません。

それを克服するには「郷に入れば郷に従え」の精神を持ち、細かいことをあまり気にしない鷹揚さを意識するといいでしょう。

「食への柔軟性」も意外と重要なポイント

老後の海外移住で意外と重要なポイントとなるのが「食への柔軟性」です。食事は毎日食べるもの。現地の「食」に順応できない人は苦労するでしょう。

先進国をはじめとする多くの国では、日本と同じ食材や調味料が入手でき、日本食レストランもあります。しかし、水が日本と違うせいか、日本で食べる味と微妙に違う場合も多いのです。それに違和感を覚える人は、毎日の食事が苦痛になるかもしれません。

気持ちの問題だけなら、現地の食に慣れることで問題が解消する場合もあります。ただ、体質的に合わない場合は、海外移住をあきらめることも必要かもしれません。

老後の海外移住で失敗する人(4)日本語意外の言語が話せない人

(写真=PIXTA)

日本語以外の言語が話せない人も、海外生活で失敗しやすいでしょう。

特に、中学英語程度の日常会話も難しい人は、どこに行っても必ず言葉の壁にぶつかります。それが原因で犯罪被害に遭う可能性もあります。

それでも海外移住したい場合は、カタコトだけでも英語や現地の言葉が話せるようにしておくことが必要です。

ただし、コミュニケーション能力が高い人の中には、日本語とジェスチャーだけで現地の人と会話が成り立つ強者もいます。その場合は現地での言語の習得が早いので、あまり心配ないかもしれません。

老後の海外生活で失敗する人(5)デジタルに疎い人

(写真=PIXTA)

デジタルに疎いことも、老後の海外移住で大きなマイナス要素になります。現地でのプロバイダーやスマホなどの契約はもちろん、パソコンの設定などに自信がない人は苦労するでしょう。

しかし、もっと大変なのはお金に関するデジタル化、つまりキャッシュレス社会です。

海外では多くの国でキャッシュレス化が進んでいるため、それに対応できない人はかなり苦労する可能性があります。

また、インターネットバンキングに対応できない人は、日本の銀行口座の管理も大変です。

そのような不安要素が強い場合は、移住前に必要最低限のデジタル知識を身に着けておきましょう。

老後の海外移住には入念な準備と主体的な姿勢を持つことが必要不可欠

(写真=PIXTA)

老後の海外移住で失敗する原因の大半が準備不足です。移住前の準備はこれでもかというほど入念に行わないと必ず失敗するので注意しましょう。

また、海外生活では人に頼れない場面も多いので、何事も人任せにせず、「問題は自分で解決する」といった主体的な姿勢でいることが大切です。

老後の快適な海外移住を実現させるためにも、ぜひそのことを心に留めておいてください。

文・大岩楓

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