40代に入ると、老後の住まいが気になる人もいるでしょう。「もし階段が上れなくなったら?」などと今の住環境での暮らしに不安を持っている人もいるかもしれません。そこで今回は、老後の住まいはマンションを買い替えるべきなのか、戸建てと比べてのメリット・デメリットなどについてご紹介します。
老後の住まいは持ち家(戸建て)よりも低層マンション?
老後の住まいを変えるなら、低層マンションへの住み替えが、選択肢のひとつとして考えられます。もともとマンションに住んでいた人たちに加えて、戸建てに住んでいた人も、老後は低層マンションの暮らしを検討する傾向が増えているようです。
大手不動産会社が共同運営する新築マンション検索サイト「MAJOR7」で、全国のマンション購入意向者約77万人に対し、「新築分譲マンション購入に際しての意識調査」を行ったところ、「現在マンション購入を検討している理由」についての項目では、4位に「老後の安心のため(16.6%)」があがり、同調査の前年度順位7位からUPしました。「理想とするマンションのタイプ」の項目では、8位に「低層マンション(31.6%)」がランキング入りしています。
調査の結果を見ると、マンション選びにも、老後を見据えた考え方が増えてきているのではないでしょうか。
マンションでも戸建てでも、住宅を取得するタイミングは、子育ての真っ最中という人が多く、当然ながら部屋数が多いファミリータイプの間取りの需要が増えるでしょう。
しかし、使わない部屋が出てきたり、買い物に行く距離が遠く感じてきたりなど、年を重ねていけば、不便なことがいろいろと出てくる可能性があります。
もちろん、マンションにも戸建てにも、老後になってからの暮らしでメリット・デメリットがあるため、一概にはどちらがよいと決めることはできません。「今の環境のままで、老後も不自由なく暮らすことができるか」ということをしっかりイメージし、どのような選択が望ましいのか、検討しておくことも大切です。
老後にマンションに住むメリット・デメリット
老後にマンションに住むメリット・デメリットには、次のようなことが考えられます。
メリット
- 階段がないワンフロアの暮らし
- 居住空間がコンパクト
- 駅近といった利便性を図れる
- セキュリティーが充実
建物内の設備や外壁などのメンテナンス管理が不要 マンションは室内に階段がない間取りが多く、ワンフロアで移動がしやすいのが大きなメリットでしょう。家族数が少ない老後の暮らしに合わせて、コンパクトな物件を選択することができます。
駅の近くやスーパーなど買い物が便利な場所は、土地代が高く、戸建てで探すのは負担が大きくなるでしょう。その点、マンションは利便性を重視した選択をすることも可能です。
マンションによっては、管理人が常駐していたり、オートロックや監視カメラが設置してあったりと、セキュリティーが充実している物件もあります。
デメリット
上下階の生活音などが気になる
- ご近所付き合いが薄れる
管理費や修繕積立費、駐車場代がかかる マンションは集合住宅ですから、上下階が存在します。防音仕様になっていても、上下階の音は少なからず聞こえてくることは、気になるポイントかもしれません。
マンションは通常、建物の管理費や修繕積立費、駐車場代などが毎月かかります。中古物件で購入したとしても、管理費などは別途で必要になります。
老後も持ち家(戸建て)に住むメリット・デメリット
老後も戸建てに住むメリット・デメリットについては、次のようなことが考えられます。
メリット
- 生活音を気にしなくてよい
- 家の中や庭など、自由に手をかけることができる
普段のご近所付き合いができる 戸建ては、上下階や隣に対しての生活音を気にすることなく暮らすことができる点が、大きなメリットでしょう。庭があるなら、植物の手入れをしたり、好みに合わせて自由に手をかけたりすることもできます。
デメリット
家族構成が変わると、部屋が余る
- 2階への移動や掃除が大変
リフォームなど修繕費がかかる 戸建てを購入したときは、子育て真っ最中であったとしても、子供たちが巣立ったあとは、個室も使わなくなり、夫婦だけでは広すぎることも……。階段の上り下りも不便になり、2階には全く行かなくなったというケースもあるようです。
住宅の外壁や屋根の劣化、キッチンやお風呂などの設備の入れ替えなど、老後も安心して暮らせる住まいを保つには、リフォーム費用も考慮しておく必要があるでしょう。
終の住み処を選ぶときのポイント
駅やスーパーの近くなど、生活の利便性が高い場所に住まいがあるのは、心強く感じるでしょう。老後の暮らしでは、車の維持費といった、金銭的な負担もできるだけ避けたいところです。
終の住み処(か)を選ぶときには、今の住まいよりも利便性のメリットがあることや、老後でも管理費などの出費が負担にならないことなどがポイントになります。
戸建ての場合は、敷地が広い・住宅の面積が広いなど、規模が大きいほど、修繕などの費用も負担が大きくなりますので、しっかりと検討していきたいですね。
日頃から情報を集めておこう
「老後なんてまだまだ先のこと」と思っていても、子育てが一段落したら、老後の暮らし方を考えておきたいところです。生活費なども含めて住環境をどうすべきか、40代・50代のうちから、経験者の話や、ライフプランナーのアドバイスを聞き、さまざまな情報を集めて将来の暮らし方のシミュレーションをしておきましょう。
文・岩野愛弓(住宅・不動産ライター、宅地建物取引士)
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