(本記事は、鈴木秀子氏の著書『世界でたったひとりの自分を大切にする 聖心会シスターが贈る大きな愛のことば』(文響社)2018年10月19日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
※以下、書籍より抜粋
自分との絆を育てる
「自分を下げる言葉」を言わない
何もできない私なんてダメ。愛されない自分なんてダメ。
人はこういう言葉を平気で口にします。
でも、人間はみな「神が良しとみたもう」尊い存在なのです。
それなのに自分を下げる言葉を言うのは、とてつもなく傲慢なことではないでしょうか。
せっかく生かしてもらっているのに、自分の存在をないがしろにする。
それは、「自分は神様より上」「自分は神様だ」と言っているようなものです。
こんな傲慢な心では、幸せになれるはずもありません。
いったいなぜ、人は自分を下げるようなことを口にしてしまうのでしょう。
それは、人が「目に見える世界」ばかりに気をとられているからです。
人間の中には、「目に見える世界=ドゥーイング(doing)」と、「目に見えない世界=ビーイング(being)」があります。
ドゥーイングとは行為、つまり条件で動く世界を言います。
仕事やお金、モノなど目に見えるもので人の価値を決める。これらはすべてドゥーイングの世界です。
一方ビーイングは思いやりや感謝、無条件に自分を大切に思える心の世界です。ビーイングを感じられると、人は満たされ、幸せを実感することができます。
でも目に見えないため、なかなか理解することができません。
事業に成功し、一代で財を成したある社長さんの話です。
彼は末期がんを患って入院すると、お見舞いに訪れる人が義理で来ているのか、心から心配して来ているのかがわかるようになったと言います。
見舞いに来る人の多くは義理で来る人ばかり。
会社を与え、大邸宅を与えたわが子でさえ、思いやりではなく義理でやって来る。そのことがわかるようになったとたん、彼はすべてを虚しいと感じるようになります。
自分はこれまで財産やモノ、目に見えるドゥーイングの世界でのみ生きてきてしまった。
人生を10とすれば、そのうちの9割をドゥーイングに使い果たしてしまった。
でも、病気によって9割のドゥーイングが消えると、残された1割の見えない世界、心でつながる世界がどれほど大切なものかを痛感した。
生きる最大の軸となるのは、心の世界(ビーイング)だと、彼は死に際に悟ったのです。
若いうちは、どうしてもドゥーイングを求めがちです。
社会で生きるためには、目に見える世界を優先するのもいたしかたないかもしれません。
でも、自分との絆を深めるには、ドゥーイングだけでなくビーイングを大切にすることを忘れてはなりません。
どうしても自分を下げる気持ちが出てくるときは「ああ、自分は今そういう思いにとらわれている」と受けとめて、振り回されないようにする。
ドゥーイングからビーイングへ、心を切り替えることが大事なのです。
【大きな愛のことば】
「私なんて……」と思うのは、人間の価値観。
神様から見れば、生きている人全員が素晴らしい存在。
鈴木秀子(すずき・ひでこ)
聖心会シスター。東京大学大学院人文科学研究所博士課程修了。文学博士。スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授(日本近代文学)を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心女子大学キリスト教文科研究所研究員・聖心会会員。著書に44万部突破の『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP研究所)のほか、『死にゆく者からの言葉』、『愛と愛しのコミュニオン』、『心の対話者』(文藝春秋)、『死は人生で最も大切なことを教えてくれる』(SBクリエイティブ)など。
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