子ども達が辛い経験を話すとき・・・
そっと寄り添う「付添犬」
CAPP活動(日本動物病院協会JAHAが行うアニマルセラピー活動)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、訪問先の多くが高齢者施設や医療機関であることからふれあい活動を全面的に休止しています。オンラインでの交流、活動動物たちの写真集やビデオレターなどを活用した新しい交流を行いながら、少しでも笑顔をお届けできる方法を模索しています。 そんな中、刑事裁判で証言をする子どもに犬が付き添ったことが日本で初めてのケースとして報道され、大きな話題となりました。今回はCAPPのセラピー犬も活躍している「付添犬」の取り組みについてご紹介します。
児童精神科病棟で活躍していたセラピー犬ブランシェ。ひどいストレスに押しつぶされそうだった泣き顔の子どもが、調査官面接の聞き取り前のブランシェとのふれあいで、勇気と自信にあふれる笑顔をみせ、堂々と一人で面接をこなしたことも付添犬の取り組みへとつながるきっかけに。
■裁判の同伴をきっかけに日本でも注目された「付添犬」
2020年8月、「ハッシュ」という名前のゴールデンレトリーバーが、刑事裁判の場で虐待被害を証言する子どもに付き添いました。
このことが10月に報道されると多くの人々の関心を集めました。大人でも緊張する裁判の場面で、自身の受けたつらい体験を話すことは、小さな子どもの心に大きな負担を強いることになります。付添犬は、そういった場面で子どもに寄り添い、心の負担を軽減する役割を担っています。
裁判の場面に付き添ったのはまだ8月の一例のみ(11月現在)ですが、裁判に至るまでの面接や聴取を行う過程の中でセラピー犬とふれあう取り組みは2014年頃から行われており、日本で付添犬が始まるきっかけにもなりました。子どもと付添犬の関係構築はこの段階からすでに始まっており、子どもにとって心強い味方になります。
「付添犬」とは?
被害を受けた子どもが、安心して自分の受けた出来事について、他者(司法関係者/医療従事者など)に伝えられるよう手助けをする犬です。
虐待などでトラウマを受けた子どもが、事情聴取などでさらなるトラウマを受けないように精神的にサポートします。きっかけになったのはアメリカで活躍するコートハウスファシリティドッグの活動です。
すべての犬には、獣医学的に健康であることや攻撃性がないことはもちろん、包容力のある穏やかな犬で、一般の犬が入ることのできない施設でも落ち着いて行動ができ、指示に適切に従うなど十分な安全性が求められます。その特殊な活動内容と日本の現状に適応した、犬への厳正なスクリーニングとハンドラーに対する研修教育などを経た上で、子ども達やご家族の笑顔のための優しい活動を目指しています。
子どもたちを暴力から守る
NPO 神奈川子ども支援センター"つなっぐ"
2019年春、小児総合病院の医師と弁護士の2名が代表理事となって、被害を受けた子どものその後のケアやサポートをなるべく負担の少ない形で行なうために、NPOが設立されました。
“つなっぐ”という名前の由来は、被害を受けた子どもを支援するために関わる専門家同士の横の“つながり”と、その連携を意味する“タッグ“を組み合わせた造語です。
つなっぐでは、虐待、性暴力、いじめ等を受けた子ども等被害者に対して、関係機関と連携しながら子どもの権利を擁護し被害からの回復に寄与することを目的として、さまざまな支援事業を行っています。 その中で、代表理事の弁護士がアメリカでのコートハウスファシリティドッグの取り組みを知り、自身が関わっている子どもたちへぜひ届けたいと願ったことがきっかけで、2014年から「コートハウスドッグ準備委員会」を立ち上げ、獣医師など、動物の専門家も関わって準備を進めてきました。
つなっぐの設立と同時にこの準備委員会が入り、2020年7月より名称をつなっぐ内の「付添犬認証委員会」として、すべての付添犬の認証を行っています。付添犬の取り組みを行えるのは、つなっぐと連携している2団体の中で認証を受けたハンドラーと犬のペアのみです。(2団体:社会福祉法人日本介助犬協会、公益社団法人日本動物病院協会(JAHA))
「付添犬」に関するお問い合わせ
NPO 神奈川子ども支援センターつなっぐ事務局