「停電危機」の背景

実際、関西電力や中国電力、北陸電力はすでに「上限」に達した。供給不安で思い起こすのは、3月22日に政府が初めて電力需給逼迫警報を出した首都圏の停電危機だ。

夫婦二人世帯で5万円超!? どんどん値上げされる電気料金の今後は?
(画像=『女子SPA!』より引用)

関西電力の電気料金が横這いなのは、燃料費調整制度の上限に達したからだが、早晩、値上げは避けられない

環境ジャーナリストの石井孝明氏は、その背景をこう読み解く。

「背景は3つあります。1つ目に、近年の脱炭素の流れの中で、火力発電が縮小されたこと。東電は’19年までに200万kwほどの発電能力を持つ石油火力発電所を閉鎖した。その後、’20年に菅義偉政権が’50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを宣言。火力発電縮小を政策が加速させた格好です。

2つめは、再生可能エネルギー(再エネ)の過剰な優遇。原発事故翌年から始まった再エネ振興策によって、東電管内の太陽光発電設備は1000万kwまで増えたが、3月22日にはほとんど役に立たなかった。

そして、3つ目が原発再稼働の遅れです。原発事故以降、営業運転を再開した原発は全33基中、10基にとどまる。これら供給不安の要因は、そのまま料金高騰の要因にもなっているのです」

夫婦二人世帯で5万円超!? どんどん値上げされる電気料金の今後は?
(画像=『女子SPA!』より引用)

需要急増に対応する火力発電が減れば、停電リスクが増す

「夏はどう節約すればいいのか……」

「安さ」がウリのはずの新電力も、料金が大幅に上がっている。高原恭介さん(仮名・30代男性)も、料金の高騰に悲鳴を上げた一人だ。

「昨年、私の在宅勤務が増えた上、コロナ禍で妻のパートのシフトが減り、夫婦が四六時中、家にいるようになり、電気料金が1万円を超えてしまった。これはまずいと、新電力に乗り換えると料金は5000円ほどに抑えられ、安心したのも束の間、昨年12月の電気料金が突然、3万円超に!? 慌てて東電に戻したけど、それでも1万円超。寒い日は部屋の中でもダウンを着るなどして、極力エアコンを使わなかったけれど、夏はどう節約すればいいのか……」