ハワイが好きだった叔父のためのお葬式
ハワイが好きで、リタイヤしたら余生はハワイで過ごすと決めていた叔父のために、叔母はハワイ風の葬儀にすることに決めました。
祭壇にハイビスカスを敷き詰めたり、BGMをハワイアンにしたり、叔父に少しでも南国情緒を味わってもらえるように様々な工夫を施しました。
「一部の親族からは反対もあったみたいですが、私はやってよかったと思っています。とても叔父らしい葬儀でした」
葬儀は滞りなく執り行われ、一同は併設された火葬場へ向かいました。そこで参列者一同がある異変に気が付きます。
会場に響く嗚咽に異変を感じ取る
親族一同が棺の周りに詰め寄って、最後のお別れをしていると後ろの方ですすり泣く声が聞こえたのです。
「こういう場ですし、泣いているだけだったら誰も気にはしません。でも、やがてすすり泣きの声は大きくなり、次第に嗚咽へと変化していって…」
もちろん、故人との最後のお別れの場。関係が深ければ深いほど冷静ではいられません。ただ、嗚咽があまりにも激しくなり、睦美さんを始めとした親戚一同もとうてい無視できるものではなくなり、ちらりとそちらの方を見ました。