ジェフ・ベゾス——顧客を優先し、社員には厳しく結果をだす

個性的なリーダーシップでAmazonを巨大企業に育てあげたベゾスCEO。トップとしての信念は、「顧客最優先主義」を社員に徹底的にいきわたらせる点にある。

顧客がなにを求めていてなにを必要としないか—を徹底的に追求し、「5.6万人の社員ではなく世界1.6億人の顧客に重点を置く(フォーブス誌2012年4月4日付記事)」 スタイルだ。Amazonが常に顧客満足度の高い企業の座を維持している秘訣はここにある。そしてそれこそが「Amazonで働く誇りと向上心」を社員にあたえているのだろう。

それでは社員に十分な敬意を払っていないのかというと、けっしてそうではない。ベゾスCEOは社員に厳しいが、それだけ社員に対する期待が高いということだ。有名なエピソードとしては、Amazonがまだオンライン書籍小売店だった頃、500人の社員は一分につき12件の顧客メールに対応するというノルマを課されていた。7件以下だと解雇されることもあったという。

ベゾスCEOの無邪気な一面を示す話もある。Amazon設立初期、社内の全員が深夜まで本の出荷作業を行っていた。出荷作業用の机がなかったため、全員コンクリートの床に両膝をついて梱包していたそうだが、数時間後、ベゾスCEOは「作業用の膝パッドを注文する必要があるな」とつぶやいた。従業員のひとりが「代わりに作業机を注文したらどうですか」と提案するまで、仕事に没頭するあまりそんな当たり前のことに気が回らなかったのだ(ウォールストリートジャーナル2011年10月5日付記事 )。

ベゾスCEOの厳格なスタイルは、だれにでも受けいれられるものではないだろう。しかしその厳しさを乗りこえ、自分自身に挑戦する機会をあたえてくれるのは確かだ。

サンダー・ピチャイ——「反多様性声明書」を作成した社員を解雇したトップの威厳

Googleを支えるピチャイCEOだが、2017年夏、ピチャイCEOのトップとしての器が問われる出来事が社内で起こった。社員のひとりが作成した10ページにもおよぶ「反多様性声明書」 が、広範囲に流出したのだ。これは「女性と男性では多くの点で生物的に異なる」ため、「女性は男性よりもエンジニアとして劣る」という内容のものだった。

この声明書はメディアなどに掲載され、大反響を呼んだ。事態の収集に乗りだした ピチャイCEOは自社サイトに声明文を掲載し、「従業員には意見をいう権利がある」と前置きした上で、こうした意見を「攻撃的な振舞い」「許される行為ではない」と批判。声明書の著者である社員を解雇した。

社内には反多様性声明を支持する声もあったというから、ピチャイCEOにとっては「ひとりの社員を解雇する」という域を超えた難題だったと思われる。組織内の多様化に異論を唱える勢力に歯止めをかけつつ、言論の自由を支持する姿勢を見せる必要があった。結果的にピチャイCEOの決断は、「Googleのトップの権威を示した」と世間には受けとめられたようだ。

仕事への取り組みでは「失敗を勲章だと思え」という発言をするなど、クックCEO同様、従業員に失敗を恐れず伸び伸びとチャレンジできる職場環境作りに務めている(burffee.comより )。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
ここで差がつく!「デキる人」がしている会議準備とフォロー
「デキる!」と言われる幹事が外さない3つのポイント
これで挫折知らず!「映画de英語学習」3つのコツ
そろそろ次を考えたい…転職にベストな年齢って?
どっちが幸せ?「正社員女子」」VS「契約社員女子」