タクシーで火葬会場に向かうも間に合わず

 智子さんが自らの失態に気が付いたのは火葬場に到着してからのことです。

「私が知っている家族の顔が見えなかったのですが、それは車に同乗していったのかなと思っていました。だから気が付くのが遅れてしまったのです」

 案内プレートを見ても、M子さんの名前がどこにもありません。真っ青になりながら案内係の人に尋ねると、ようやく違う火葬場に来てしまったことに気が付きます。急いでタクシーを呼んでもらい、M子さんのいる火葬場に向かうものの、見送りには間に合いませんでした。