文学系男子の魅力

瀬戸康史が演じる“文学系男子”が美しすぎてため息…。ドラマ『恋に落ちたおひとりさま』を考察
(画像=『女子SPA!』より引用)

で、この飛躍が、文学女子らしい妄想によって展開されるのが、とにかく面白い。

 聡子は、愛読するヴィクトル・ユーゴーのロマン主義小説『レ・ミゼラブル』に登場するマリウスに、危ないところを助けられたと錯覚するのだ。過去にトラウマを抱え、カウンセラーに通う彼女は、今まで一度も恋愛をしたことがない。異性にまったく免疫がない彼女が、突発的な接触を現実のこととしては受け入れられずに、湧いて出た妄想と捉えることもできる。でも、ふと我に返った彼女の視界は全面桃色状態で、もうこれは完全に恋の虜になっている。

 そんな聡子と同じく、妄想の中のマリウスでも、現実の涼介でも、どちらにしても瀬戸康史のきらきら王子様な雰囲気に、ついため息がもれる。彼女が理想の男性像とするマリウスに扮するときは、しとやかなレディを前にして紳士的で誠実な態度を取るのが好青年すぎる。聡子が、恋する感情をめちゃくちゃにこじらせて、実は涼介が陰口を叩いてるんじゃないかと想像する別の妄想が描かれたりしても、それはそれで魅力的な瀬戸康史がいる。

 実は涼介は、とある理由から、自分が新進気鋭の小説家であることを伏せている。瀬戸にこれほど作家役が似合うのが意外だったけれど、いやでも考えてみると、こういう文学系男子が一番似合うんじゃないだろうか?