古くから海外との貿易の拠点として栄えた長崎市。世界文化遺産に登録された「旧グラバー住宅」や「軍艦島」、さらに名物・ちゃんぽんや皿うどんのお店が集まる新地中華街など、気になるお店やスポットがたくさんあって迷っちゃう・・・。そんな初めて長崎を訪れる方でも1泊2日で観光やグルメを楽しめる筆者考案のモデルコースをご紹介します。
長崎ってどんな町?
江戸時代から海外との交流を盛んに行われてきた長崎。大きな山々に囲まれた坂の町としても有名です。長崎駅周辺にはキリシタンの歴史を発信するスポットがあるほか、中心地から少し南に行くと、グラバー園のある南山手(みなみやまて)や東山手(ひがしやまて)があり、歴史を学びながら観光を楽しめます。
市内を観光したい方には、長崎電気軌道(でんききどう)の1日乗車券を利用するのもおすすめ。市内を運行する路面電車が1日乗り放題で主要な観光スポットを隅々までまわりたい方にはおすすめです。さらにジョルダンの「乗換案内アプリ」をダウンロードすれば、スマホで購入してそのまま利用できるので、あわせてチェックしてみましょう。
【長崎電気軌道 1日乗車券の情報】
<電話番号>
095-845-4113(長崎電気軌道 電車事業部 運転課)
<料金>
大人(中学生以上)600円、小児(小学生)300円
<主な発売箇所>
長崎駅前、大波止、新地中華街などの停留場、観光案内所、沿線ホテルフロントなど
※詳細は公式HPでご確認ください。
※モバイル乗車券の詳細はこちらから
【1日目】日本三大中華街のひとつ「長崎新地中華街」で名物グルメを堪能しよう!
最初は、長崎で人気のリトルチャイナタウン・長崎新地中華街(ながさきしんちちゅうかがい)を散策しましょう。横浜、神戸・南京町(なんきんまち)と並ぶ日本三大中華街のひとつで、江戸時代中期に誕生しました。東西南北合わせて約250メートルの十字路にちゃんぽんや皿うどんなど、約40軒の中華料理店が立ち並んでいます。
中華街から少し歩くと、江戸時代中期に中国人居住区として整備された「唐人屋敷跡(とうじんやしきあと)」があります。豊作の神様をまつる「土神堂(どじんどう)」や「福建会館(ふっけんかいかん)」、「天后堂(てんこうどう)」、「観音堂(かんのんどう)」といった中国様式のお堂が残っています。
また毎年1月下旬から3月上旬のうちの14日間にわたって、「長崎ランタンフェスティバル」が開催されます。長崎に住む華僑の人々が、中国の旧正月「春節祭」を祝うために開催するイベントで、新地中華街を中心に約1万5,000個のランタンなどが飾られます。皇帝のパレードや龍踊りなどのイベントも期間中に行われるので、ぜひチェックしてみて。
10:30 長崎駅到着。本日宿泊する宿へ荷物を預ける
旅の始まりはJR長崎駅から。JRまたは高速バスでアクセスすることができ、博多駅からJR長崎本線の特急「かもめ」で約2時間、博多バスターミナルからは約2時間30分で長崎駅に到着します。また長崎空港からは連絡バスも10分~60分間隔で運行しており、出島道路経由で約43分、浦上(うらかみ)経由で約55分で長崎駅に到着します。
散策を始める前に荷物を預けに行きましょう。今回筆者が宿泊する宿は長崎駅から5分ほど歩いたところにある「ドーミーインPREMIUM長崎駅前」。長崎駅や路面電車の電停へのアクセスに便利なところにあり、ホテルの近くにはコンビニエンスストアもあります。
11:00 新地中華街に到着。ちゃんぽんなどの長崎グルメを味わおう♪
ホテルで荷物を預けたところで新地中華街へ移動しましょう。長崎駅前電停から崇福寺(そうふくじ)行きの路面電車に乗車。約8分で最寄りの新地中華街電停に到着します。
厳選した素材を使ったちゃんぽんと水餃子は絶品!「老李」
ここからは長崎新地中華街でおすすめのお店をご紹介します。電停から少し歩いたところにある「老李(ラオリー)」は、台湾料理を提供するお店。麻婆豆腐や豚の角煮のほか、長崎名物・ちゃんぽんや皿うどんも味わえます。
おすすめは、生からすみをトッピングした「ちゃんぽん」。エビやアサリといった厳選した食材と、ちゃんぽん専用の小麦「ちゃん麦」を加えた麺で作った一品で、濃厚な鶏ガラスープと生からすみの風味が口の中で広がり、思わずやみつきになっちゃいますよ♪
あわせて食べたいのが、お店特製の「長崎肉汁水餃子」。プリプリとした餃子の皮の中に白菜と豚のひき肉がたっぷり入っており、ジューシーな旨さを楽しめます。醤油などは付けずに食べてみて。
出来立ての豚角煮まんじゅうが味わえる人気店「岩崎本舗」
新地中華街では、テイクアウトグルメを味わえるお店が集まっています。その中で人気のグルメのひとつ「豚角煮まんじゅう」を販売するお店が、「岩崎本舗(いわさきほんぽ)」です。
定番の「長崎角煮まんじゅう」は、甘辛い秘伝のタレで時間をかけて煮込んだ豚肉の角煮を特製の生地をサンドした一品。ふっくらとした生地ととろっとした豚の角煮との相性も抜群です。テイクアウトだけでなく、お土産でも買うことができますよ♪
テイクアウトグルメやお土産も手に入る中華料理店「蘇州林」
また「蘇州林(そしゅうりん)」でテイクアウトグルメを味わうのもおすすめ。五島(ごとう)産の車エビや剣先イカ、島原(しまばら)産の豚肉など、長崎産の食材を使ったちゃんぽんや皿うどんをメインに提供していますが、蒸したての点心も販売しています。
点心メニューはごま団子(1個・税込160円)をはじめ、中国風の蒸しパン「マーラカオ」(1個・税込270円)、さらにエビのすり身が入った揚げパンで長崎の伝統料理のひとつ「中華ハトシ」など。できたての点心料理を味わってみましょう。
またお土産商品もあり、らせん状にした小麦粉の生地を揚げたお菓子「マファール」(7本・税込540円~)やちゃんぽん(1人前・税込799円)、皿うどん(2人前・税込540円)もおすすめ。このうちマファールは歯ごたえのあるタイプとソフトタイプの2種類があり、上品な甘さを楽しめます。
【1日目】国宝と世界文化遺産が集まる「東山手・南山手」エリアを散策しよう♪
江戸時代末期、開国と同時に整備された居留地・東山手(ひがしやまて)とイギリス商人たちの居住区として栄えた南山手(みなみやまて)。東山手の道沿いには「東山手甲十三番館(ひがしやまてこうじゅうさんばんかん)」をはじめとした洋館が立ち並んでいるほか、南山手には国宝や世界文化遺産の建物もあります。
12:15 路面電車で東山手・南山手エリアへ移動
新地中華街でグルメを堪能したところで次の目的地へ行きましょう。新地中華街電停から石橋行きの路面電車に乗車。約4分で東山手エリア最寄りの電停「大浦海岸通」に到着します。ここから中国儒教の始祖・孔子をまつる長崎孔子廟(こうしびょう)を目指します。
オランダ坂を登ると7棟の「東山手洋風住宅群(ひがしやまてようふうじゅうたくぐん)」が見えてきます。よく似た建物が立ち並んでいますが、瓦屋根や中国風の欄間飾りの建物もあり、外国文化を体感できます。
13:00 孔子を祀る聖廟「長崎孔子廟」を見学
坂を下って少し歩くと「長崎孔子廟(ながさきこうしびょう)」に到着。中国儒学を広めた孔子をまつる聖廟で、明治時代に長崎に住む華僑と中国・清政府が協力して建てられました。最初に見えてくるのは「儀門(ぎもん)」。聖廟の正式な門で中央に太陽と月をイメージした赤い玉があるほか、龍や麒麟、鳳凰も見ることができます。
儀門をくぐると、大成殿(たいせいでん)が見えてきます。木造の神殿内には高さ2メートルの孔子の座像や父母位牌(ふぼいはい)などが祀られています。ここでロウソクや線香を立てて参拝しましょう。また学業成就や商売繁盛などのご利益を得られるお守りや、孔子のおみくじを引くことができるので、チェックしてみて。
大成殿の周辺には、孔子の弟子たちの像があります。弟子の中でも特に優れていた72人で、礼儀や音楽、書道、弓の技術、数学、馬車の運転の6つの才能に通じた賢者たちがまつられています。
あわせて大成殿の奥にある「中国歴代博物館」に見学するのもおすすめ。孔子の生涯や世界各地にある孔子廟の情報を紹介しているほか、象牙で作った作品や孔子の木像など、中国各地の博物館から貸与された資料を展示しています。
さらにチケット売り場の近くにある「碧水橋(へきすいきょう)」周辺には、縁結びにご利益があるといわれている「恋ランタン」(1個・1,000円)をかける場所があります。販売所でランタンを買って恋愛成就を祈願してみては。
14:00 世界からも認められた日本最古の教会「大浦天主堂」
孔子廟を見学したら、次の目的地「大浦天主堂(おおうらてんしゅどう)」へ行きましょう。江戸時代末期、在留する外国人のために建てられた現存する日本最古の教会で2018年7月、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のひとつとして、世界文化遺産に登録されました。
正式名称は「日本二十六聖殉教者聖堂(にほんにじゅうろくせいじゅんきょうしゃせいどう)」。堂内には十字架のキリスト像を描いたステンドグラスや、リブ・ヴォールト天井と呼ばれる日本古来の工法で建てた建築様式を見ることができます。
また天主堂の入口付近には、信徒発見の様子を描いたレリーフがあります。江戸時代末期、当時はキリスト教の禁教令が出ていましたが、浦上地域から数名の農民が訪れ、神父にキリスト教徒だと打ち明けたことを描かれています。
教会を見学した後は、隣接する「大浦天主堂キリシタン博物館」を見学しましょう。「旧羅神学校(きゅうらてんがっこう)」と「旧長崎大司教館」をリニューアルした建物で、江戸時代末期に布教で尽力したド・ロ神父のロザリオや、聖母マリアを模した観音菩薩像など、キリスト教に関する貴重な資料が展示されています。
14:30 季節の花々も咲く世界文化遺産の庭園「グラバー園」を見学しよう!
大浦天主堂とあわせて立ち寄りたいのが、隣接する「グラバー園」。2015年、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」のひとつとして世界文化遺産に登録された旧グラバー住宅をはじめ、旧ウォーカー住宅や旧オルト住宅など、復元や移築で保存された洋風建築が公開されています。
最初にチェックしたいのは、三菱重工長崎造船所第2ドックのそばに建てられた「旧三菱第2ドックハウス」。造船所で船の修理などをしている間に、船員たちが宿泊する施設です。ベランダからはグラバー園の美しい庭園や長崎港を一望できます。
祈りの泉から少し歩くと、「旧リンガー住宅」が見えてきます。イギリス商人のフレデリック・リンガーの住宅だった建物で応接室や居間など、生活の雰囲気を再現した部屋を見学できます。吹き放ちのベランダからは長崎港の風景を眺められます。
旧リンガー住宅から少し歩くと「旧オルト住宅」に到着。製茶業を務め、日本のお茶を世界に広めたウィリアム・ジョン・オルトの旧宅で江戸時代末期に建てられました。室内は応接間のほか、リンガーが1866年に行われたボートレースで優勝したカップなどを展示。毎年春には、館の周辺にモッコウバラが咲き誇ります。
グラバー園で特に注目したいのが世界文化遺産に登録された「旧グラバー住宅」。イギリス商人で生糸や茶の輸出、造船、採炭事業などを通して日本の近代化に貢献したトーマス・ブレーク・グラバーの住まいで、2021年12月下旬に保存修理工事が終わりました。室内ではグラバーの足跡について紹介しているほか、前庭には季節の花々が咲いています。
また旧グラバー住宅の周辺には、ハートの石があります。この石を探して見つけると恋が叶うといわれているので、ぜひ探してみては。
園内を散策した後は「長崎伝統芸能館」へ。毎年10月に行われるお祭り「長崎くんち」の魅力を発信しており、「傘鉾(かさぼこ)」と呼ばれる白龍や青龍で飾った豪華な飾りが展示されています。
16:00 グラバー通り周辺でショッピングを楽しもう♪
グラバー園を見学したところで大浦海岸通りから大浦天主堂、グラバー園へと続く「グラバー通り」でお買い物を楽しみましょう。雑貨店からカステラのお店など、20店舗を超えるお店が軒を連ねています。
おしゃれなガラス雑貨が買える「glass Road1571」
ここからはグラバー通りで立ち寄りたいお店をご紹介します。「glass Road(グラスロード)1571」。1571とは、長崎にポルトガル船が初入港した年のことで、しおりやコースター、ステンドグラスなど、オリジナルのガラス雑貨を取り揃えています。
おすすめはガラス玩具「ほっぺん」(税込880円)。軽く息を吹きかけると「ほっぺん!」と鳴って繊細な音が響きます。水色から虹色のデザインのものなど、色とりどりのほっぺんが手に入るので、チェックしてみて。
ステンドグラスをイメージしたプリンに注目!「長崎南山手プリン」
「長崎南山手プリン」は、長崎を含む九州の食材を使ったプリンを提供するお店。見た目が写真映えしそうなプリンやソフトクリームを味わうことができ、週末には観光客を中心に行列ができるほど人気を集めています。
人気の一品は「南山手ステンドグラスプリン」。近くにある大浦天主堂のステンドグラスの美しさを3種類の天然素材で表現しており、ジュレの冷たくてなめらかな食感ととろけるような舌ざわり、そしてバニラビーンズのしっかりとした風味を堪能できます。
この他にも、長崎・雲仙(うんぜん)牛乳とバニラビーンズを使った「長崎南山手プリン(プレーン)」(税込390円)や、エクアドル産のカカオ豆で作ったチョコレートを加えた「ショコラプリン」(税込500円)、長崎・五島産の天日干し塩を用いた「南蛮塩キャラメルプリン」(税込430円)などを提供。お好みの味を試してみては。