田舎へのリモート移住が増加する中、後悔する人も続出?
新型コロナウイルスの感染拡大で大きく変わった私たちの暮らし。テレワークを導入する会社が増え、リモートワークが可能になったことで、田舎への移住を決める人々が増加しているそうです。都会での感染リスクを避けるためにも、地方暮らしは理想的。勤務先や仕事を変えずに移住できるのも大きな魅力となったようです。
田舎移住のメリットは、人間らしい暮らし
人だらけの都会から田舎に移住するメリットはたくさんあるものです。都会では味わうことができない大自然の静けさ、新鮮な空気、水道水だって都会と田舎ではまったく違っています。
水源が良い田舎の水は、都会人には抜群においしく感じるはず。夜は都会ではまず見られないプラネタリウムのような星空を眺め、春は山桜、秋には鮮やかな紅葉といった四季折々の風景を実感することができるのです。朝は騒々しい報道ヘリの音や車の渋滞の音ではなく、鳥の鳴き声で目覚めることができるでしょう。カエルやトンボを当たり前のように眺めることができる田舎。「移住して良かった」と実感するはずです。
田舎暮らしは、何もかも便利ずくめの都会で忘れていた「人間らしさ」を思い出させてくれるはず。「これぞ私たちが求めていた暮らし」だと、誰もが思うことでしょう。
しかし、地方にリモート移住する人が増えている一方で、定住することなく再び都会に戻る人も同じぐらいいるそうです。田舎の暮らしは、都会人にとっては慣れないことの連続。移住して数ヶ月でホームシックに陥り、田舎移住を激しく後悔したり、都会に帰りたくなる人も後を絶ちません。
田舎に移住後しばらくすると後悔が顔を出す?
田舎へのリモート移住。物件を決めて、大きな引越しをした後、田舎暮らしが始まると、最初はどんなにワクワクしていても「田舎暮らしの現実」に直面します。確かに理想的な環境かもしれませんが、移住後数年は心はまだまだ都会人のままなのです。田舎暮らしの現実は、澄みきった空気やおいしい水、緑豊かな山々やのどかな田園風景がごく当たり前のものとなった頃に、ふいに都会人を襲ってきます。
都会なら、急なことがあっても24時間営業の店がいくらでもあって、何でも揃います。趣味や娯楽の材料も、薬も、日用品も簡単に手に入ります。コンビニだってそこら中にあるでしょう。しかし、それらの便利さは田舎移住で完全に失われてしまうのです。
移住後、引越し荷物も片付いてホッとした頃に、あれほど憧れていた環境の不便さや、都会では考えられない田舎の静けさが、急に窮屈に感じるかもしれません。「都会は便利だったなぁ」と懐かしむたびに、ホームシックに陥って移住を後悔する人だって少なくないでしょう。田舎への移住は、この洗礼を無事にくぐり抜けた人だけが定着できると言っても過言ではありません。
田舎への移住を後悔するきっかけ➀身の回りのリズムの激変
都会のゴチャゴチャとしたリズムから開放され、田舎にリモート移住すると、同じ仕事をしていても、生活リズムが都会と田舎はまったく違うことに気づくでしょう。田舎は何をするにものんびり、じれったいほど時間がかかることもあるのです。いつも読んでいる雑誌も、地方だと発売日から二日ぐらい遅れて発売されることだって多いのです。今まで観ていた民放のテレビドラマが、田舎にくると放映されていなかったなんてことはいくらでもあります。
田舎のリズム。風が竹林を揺らす音、川のせせらぎ、稲の青い絨毯の上を風が渡る音、どこかで小鳥のさえずりが聞こえてきます。これらの自然音はf分の一ゆらぎと言われ、人間の心拍数に近いリズムで落ち着きを与え心を癒しててくれるもの。f分の一ゆらぎは、つまり日曜日のリズムです。都会で時間に追われていた都会人は、このリズムのせいで曜日感覚が完全に狂ってしまうこともあるでしょう。毎日が日曜日だと人は癒されなくなり、焦りを感じます。リモートで仕事をするにも、毎日が日曜日のリズムの中、やる気スイッチが入りにくくなって困ったという方もきっといるはずです。
都会人が終電で帰り、家で就寝する頃、田舎ではそろそろ起き出して農作業や市場に出品する支度に取りかかろうと目を覚ます家があちこちにみられます。一方で就寝する時間、一方で1日が始まる。都会は夜型、田舎は早朝型という典型的なリズムの違いが生じているような錯覚を起こすでしょう。都会人はこの時間のねじれを受け入れ、田舎のリズムに慣れていくしかありません。
田舎への移住を後悔するきっかけ②人付き合いが結構ハード
都会は他人に無関心です。隣近所の誰が何をしようと干渉することはありません。しかし田舎では都会の常識は通じません。特に方言に馴染むことは大切ですが、引っ越した地域によっては方言が難しく、まったく理解できないこともあるでしょう。そういった場合は、通訳がわりに方言を教えてくれる人を大切にすると良いでしょう。
田舎には、「よそ者が来た」とひそひそされることだってあるかもしれません。でも、それは田舎が排他的だから起こるとは言いきれませんよ。他府県から移住してきた人でも、外国籍の人でも田舎の一員としてちゃんと仲良くやっている人はたくさんいます。つまり、心を開いて地域に飛びこむ勇気を持てば、誤解も消えて田舎は住みやすくなるはずです。
こういう人間関係が面倒になると、後悔の念に襲われて都会に帰りたくなったりもするでしょう。仕事に身が入らなくなりがちです。田舎移住で家族が燃え尽きてしまうことも珍しくありません。こういう時は少し都会に戻ってガス抜きをしたり、趣味や副業に熱中して、ネガティブに傾く心を何とか立て直して行きましょう。
地元の集まりに呼ばれなかったというだけで、どうせウチはよそ者だからとと被害者意識に駆られるのも問題です。人間関係がめんどくさいと、後悔の念に取り憑かれ、都会に帰りたいとそればかり考えて仕事に身が入らなくなりがちです。田舎移住で家族が抜け殻みたいになることだって、珍しいことではありません。こういう時は、時々都会に帰るか、趣味や副業に熱中するなどしてネガティブに傾く心をその都度立て直しながら前を向くしかありません。
体力の限界で田舎への移住を後悔することも
田舎は面積が広い割に交通網が未発達の場所も少なくありません。どこに行くにも時間がかかり、車は必須アイテム。ときに店舗施設への遠い道のりを車でドライブする覚悟も必要でしょう。大雨で視界が悪いときの山道ほど怖いものはありません。土砂崩れ、鉄砲水、都会では考えつかない災害に遭うこともあるでしょう。一戸建てを借りたり買ったりすると、修繕やメンテナンスも大仕事になります。庭も目を離すとあっという間に雑草が生い茂る。引っこ抜いてもきりがなく、除草剤などを使って的確に処理しておかないと身が持ちません。
また、買うよりは自分で作る方が早く、材料費も安い。ハードワークな大物の手作りは得意な人なら問題ないが、木工に弱い都会人は瞬く間に憂鬱になってしまうでしょう。田舎の暮らしは結構ハードです。体力の限界は意外に早くやってきます。
田舎移住を後悔しないための11の心構え・交通編
これからリモート移住をするなら、都会にはなかった田舎暮らしの現実を多少なりとも知っておくと良いでしょう。
田舎移住を後悔しないために①田舎暮らしに車の免許は必須
バスや電車、地下鉄が便利な都会では、自動車免許を持っていない人も少なくないでしょう。田舎では車は一家に一台ではなく一人一台が鉄則です。そして、コンビニは車で行くものです。田舎のコンビニの駐車場はどこも観光バスが何台も入れるほど広いことが多いでしょう。
また、車はかなりハードに使うことになるでしょう。都会より走行距離が圧倒的に長くなり、道が悪いとタイヤの減りも早いので余計な出費がかかります。ガソリン代もかかりますが、それでも田舎移住をするには自動車免許は必須です。
▼田舎に行くほどカーナビの表示が雑になり、道無き道を突き進む。カーナビを信じて道に迷い込んだことも何度もある。田舎に移住すると、慣れるまでしばらくペーパードライバーになったような気分になる。(35歳・会社員)
田舎移住を後悔しないために②田舎道の運転は「かもしれない運転」
田舎の夜は都会人が思う以上に真っ暗です。夜道を運転していて最もヒヤッとさせられるのは、ふいに道路を横切ったり、飛び出してきたりするタヌキや鹿、イノシシなどの野生動物です。山沿いの道などは特に遭遇率が高くなるでしょう。周囲を自然に囲まれた環境であればあるほど、街灯なども極端に少ないため、ヘッドライトだけが頼りです。絶滅寸前の小動物を自分が絶滅させてしまう「かもしれない運転」は必要になってくるでしょう。
また、田舎に行くほど現れる、道を横切る高齢者にも最大の注意が必要です。高齢者のスピードはまったく読めませんので、みつけたらとにかく停まって渡りきるのを見守りましょう。そして、その高齢者が忘れ物をして突然ターンして飛び出してくる「かもしれない運転」も心がけておくと万全です。田舎の道はヒヤヒヤがいっぱい。超安全運転を心得ておきましょう。
田舎移住を後悔しないために③田舎の電車・バスは最終便が早い
田舎に移住してきて驚くことは、電車やバス便の最終便が異常に早いことかもしれません。バス便などは夜8時ともなると割と絶望的なことも少なくありません。しかも電車やバスの便数は少なく、乗り換えに1時間待ちということも日常風景です。特にバスの料金はもちろん一定ではありません。乗車券をとって乗り込むと、前面のサインボードに降車地点の運賃が次々と示されていきます。刻一刻と料金が変わるので数字と掲示板の料金を見比べるのが大変です。しかも走行距離の割に料金がお高い。都会ではあまり見ることがない4桁の運賃がずらりと並ぶのは壮観です。あらかじめ調べておかないと、バス停らしきものを思い込みで探すと簡単に見逃してしまいます。また、バスの時刻表はおおよその目安でしかないこともお約束。10分以内に来れば上等です。
田舎の公共交通事情は都会人にとって、かなりのカルチャーショックにやられる案件だと考えておきましょう。田舎では車が運転できないとかなり不便だと痛感するはずです。
田舎移住を後悔しないために④タクシーは拾えない
地方都市に移住しても、大きな街ならさほど困らないのがタクシーです。ちょっとしたときにタクシーは役立つものですが、田舎に移住すると、道に流しのタクシーが走っていることはまずありません。田舎ではタクシーは外で拾うものではなく、電話をかけて呼ぶものであると認識しておくことです。地方によっては個人タクシーしかなく、あらかじめ予約が必要なところもあるでしょう。カード決済ができるかどうかなども、あらかじめチェックしておいた方が無難です。