短い時間で“浴びる映画”ならではの大胆なアレンジ
本作の監督・脚本を手がけた城定秀夫は成人向け作品の作り手としても有名で、近年では性的な要素がない青春劇『アルプススタンドのはしの方』(2020)が絶賛に次ぐ絶賛を呼んだ他、今泉力哉監督とタッグを組んだR15+指定作品『愛なのに』 (監督・脚本)と『猫は逃げた』(脚本)が現在公開中と、より多作になっている印象を持つ。今回で何より賞賛すべきなのは「原作からのアレンジ」ではないだろうか。
というのも、今回の映画は種々の要素だけを取り出せば、古屋兎丸の原作に忠実とも言えるのだが、起こる出来事の順序を入れ替えたり、はたまた表現や舞台設定を大胆に変更することで、テンポ良く物語を展開し、短い時間で“浴びる映画”ならではのダイナミズムを作り出しているのだ。
さらに、原作にはいなかった映画オリジナルキャラクターの生徒を2人創造することで、主人公が「殺されたい」と願うターゲットの女子高生が誰なのか? という、新たなミステリー性も加わっている。これは単純なミスリーディングだけに止まらず、前述した主人公の「気持ち悪さ」「それを上回る信じてしまいそうな魅力」を描く上でも重要となっていた。
それらの大胆な改変により、主人公が完全犯罪を成し遂げるまでのプロセスのリアリティが後退したところも、正直に言えばある。だが、やはり映像としてのケレン味と、物語の盛り上がりも増した映画のアレンジを、筆者は大いに肯定したい。
田中圭と互角に渡り合う実力派俳優陣の熱演
女子高生に殺されたいsub6 本作は、若手俳優たちの熱演も見所だ。正統派の美少女だがどこか影のある南沙良、対人関係が苦手だが何かを感じ取る力を持つ親友役の河合優実、快活な演劇部員役の莉子。ひたむきに稽古に打ち込む孤高の柔道部員役の茅島みずき、朗らかな少年役の細田佳央太などが、田中圭と互角に渡り合うほどの「心理戦」を表現しきっているのだから。
主人公の元カノかつスクールカウンセラーを演じるのが大島優子というのも見逃せない。彼女は主人公のことをよく知っている、劇中で企てられる完全犯罪の最大の抑止力になるかもしれない存在だ。「落ち着いた大人」となった大島優子が、生徒役の若手俳優とは違う形で、田中圭と真っ向からぶつかり合う様にも、注目してほしい。
それら実力派の俳優が演じる多彩なキャラクターがいるからこそ、「自分に似ているのは誰だろう?」と自己投影できる役柄を探せるだろう。設定だけ聞けば1ミリたりとも共感し得ないはずだった、田中圭演じる主人公も、その中の1人かも……? それも含めて、ぜひ楽しんでほしい。
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<文/ヒナタカ>
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