このように意味も押韻も訳文に表すことができるのなら、それに越したことはありません。しかし、それが極めて困難なことがあります。たとえば、次のような英文の場合を考えてみましょう。

Humpty Dumpty sat on a wall:

Humpty Dumpty had a geat fall:

All the king’s horses and all the king’s men

Couldn’t put Humpty together again.

韻が踏んであることを度外視して、意味だけを訳すことはできます。とりあえず、韻が踏んであることは度外視して意味だけを忠実に訳してみましょう。

直訳:

ハンプティ・ダンプティは壁の上に座った。

ハンプティ・ダンプティは落っこちた。

王様の馬と家来の全部がかかっても

ハンプティを元に戻せなかった

しかし、訳文中に韻が踏んであることを示すことは困難を極めます。なぜなら、wallに相当するのが「壁」であり、had a great fallに相当するのが「落っこちた」、menに相当するのが「家来」、againに相当するのが「元に」だからです。このようなケースで原文に韻が踏んであることを表現するのは少しやり過ぎな感じもします。こういう場合は、韻が踏んであることは度外視し、意味だけを訳したほうが良さそうです。

今回は、英文中の押韻をどう処理するかを考えてみました。韻が踏んであることを度外視して意味だけを訳すのが悪いわけではありませんが、韻が踏んであることを表現することを考えるとより味わいのある訳文になることでしょう。

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