7.動物病院での治療とその費用
では、実際に病院へ行った際にはどのような治療・検査が行われ、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
病院での治療方法
1 問診・触診
まずは自宅での様子を飼い主からヒアリングしたり、実際に耳に触れてみて痛がるかどうかなどを確認します。
2 耳の中の状態を見る
動物病院には、「耳鏡(オトスコープ)」と呼ばれる耳の奥の状態まで見ることのできるスコープがあります。この耳鏡を使って耳の中までしっかりと見て、炎症の程度や鼓膜の異常、異物の有無などを確認します。状態次第でこの先の治療方法も変わるため、非常に大切なステップとなります。
3 耳道内の洗浄
洗浄液を使いながら耳垢や膿を取り除き、耳道をきれいな状態にします。耳の中が汚れていては、どんなに投薬をしても効果が出にくいもの。このあとのスムーズな治療のためにも必要な処置となります。
ただし、炎症が重度である、鼓膜が破れているなど洗浄ができないケースもあり、その場合は麻酔によって鎮静化させての治療や、高度治療が可能な二次施設への紹介となることもあります。
4 投薬
菌の繁殖やかゆみを抑えるための投薬をします。スポットタイプの点耳薬が主ですが、最近では粘度の高いゲルタイプの点耳薬も出てきて、薬剤効果の持続性が高いため自宅での点耳が必要なく管理が容易なものもあります。獣医師と相談しながら適したタイプを選びましょう。
5 発症原因や症状レベルごとのアプローチ
外耳炎発症原因を突き止めるため、視診、オトスコープでの検査、耳垢の細胞検査、重度の場合CTやMRIが必要になることがあります。
例えば、耳ヒゼンダニの寄生が耳垢検査にて確認できた場合には駆虫薬の投薬を。オトスコープにて外耳の炎症が見られた場合には炎症止めの点耳薬を投薬するなど、必要に応じた処置を行います。
6 外耳炎を引き起こした原因に対する治療
炎症を抑え、かゆみや痛みを取り除いてあげる処置はファーストステップとしてもちろん大切ですが、そもそもの発症原因を知りその治療を行うことも非常に大切です。血液検査やレントゲン、エコーなどで基礎疾患を調べるなどし、問題があった場合はそこに対する治療も継続して行います。
治療費
動物病院によって異なりますが、項目としては初診料(再診料)、洗浄や投薬などの処置費用、処方薬費用、検査費用などがあげられるでしょう。
症状のレベルや選ぶ薬の種類、治療が必要なのは片耳だけか、それとも両耳ともなのかなど、状況によっても大きく変わってきます。
一般的には処置費用で1,000~3,000円、処方薬で3,000~5,000円ですので、おおよそこのくらいの金額がベースとなるでしょう。
8.まとめ
かゆみや痛みは飼い主にはなかなか伝わらないもの。だからこそ、その苦しみにはいち早く気付いてあげたいですよね。
どんな犬でも発症しうる外耳炎ですが、その原因は日常の思わぬところにも潜んでることもわかりました。発症リスクを少しでも軽減させるために、飼い主としてできることを一つずつ心がけていきたいものです。
そして大切なのは自己流の処置をしないこと!少しでも様子がおかしかったら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
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