先週、英語のテストの点が比較的高い人でも英語を話す、または通訳で言うと日本語から英語へ変換するのが苦手と感じている人が案外多いという話をしました。ではどうすればいいのでしょうか?この本さえ読めばとか、このメソッドに従ってやればできるという魔法のような方法はありません。ただこれはやらない方がいいということはあります。
先週のタイトルにもなりましたが、“タンゴ!タンゴ!タンゴ!”という考え方を捨てることです。英語を勉強し始めの頃は、単語や表現の全体量が少ないので、無理やりにでも単語の暗記は必要ですが、ある程度のレベルに達すると勉強方法を変える必要があると思います。ただ本屋に行けば単語や表現集の本も所狭しと並んでいるし、それをちらっと見てみると自分の知らない単語や表現があると、自分の単語力や表現力はまだまだで、だから英語が話せないのだと思い通勤電車で単語の暗記に走りたくなる気持ちもわかります。
単語を覚えるってある意味「楽」な勉強方法ですよね。与えられたものをひたすら覚えていけばいいわけですから・・・。でもあえてこれをやめてみることをお勧めしたいと思います。もちろんやめると言っても、知らない誰かに与えられたものをひたすら覚えるのを止めるという意味で、自分に本当に必要な単語や表現はもちろん覚えていく必要はあります。“単語覚えるのをやめろ”と言ったかと思ったら、“必要な単語はやっぱり覚える必要がある”って???と思われるかもしれませんが、ちょっと洋服に例えて説明します。
皆さんのクローゼットの中にここ一年着なかった服がどれくらいありますか?案外着ていない洋服ってたくさんないですか?次の質問です。何となく同じような服ばかり着ているような気がするという人はどれくらいいるでしょうか?こちらも案外多くの方がそう感じているのではないでしょうか。
英語を話すまたは日本語から英語に直すというのは、おしゃれに洋服を着こなすということに似ているような気がします。おしゃれな人=たくさんの洋服を持っている人ではないのと同様に、「英語を話すのが上手または日英の通訳がうまい」=「単語や表現数が豊富な人」ではないのです。もちろん最低限の洋服や単語は持ち合わせているという前提ですが・・・。
力技で押し切ろうという人は「通販カタログで洋服を買うのが趣味」という人と似ていて、今クローゼットにどれだけ洋服があるかを考えずに、その瞬間“あーこれ自分に似合うかも!”って衝動買いを繰り返し、思いつきで服を買い足していくだけで、今クローゼットあるものとどうやって組み合わせようかなんて全く考えていないのです。これでは洋服の数は増えているのに、「毎回同じような服ばかり着ているな・・・」となってしまうのです。もちろんお金のある人ならこれでもいいですが、普通はそういうわけにもいかないですよね。
同じようなことが英語にも言えると思います。洋服の例でいうならお金持ちの人はこの場合は類まれな記憶力がある人ということになります。聞いたことや見たことを片っ端から覚えられる人ならいいですが、実際には人間の記憶力には通常限界がありますし、そういうわけにもいきません。英語を教えていて、面白いことに気づきました。TOEICが900点を超える人と800点前半の人のリスニングやリーディングでは大きな差がありますが、スピーキングになると案外差がなくなり、下手をすると逆転現象すら発生するのです。一般的には900点以上と800点前半だと単語力では差はあると思いますので、ここでも単語の量だけで英語のスピーキング力が決まるわけではないということが言えるのではないでしょうか?
また洋服の話に戻りますが、一度家のクローゼットのものを出してみてください。驚くほど着ていない洋服が出てくるはずです。このコラムはファッション道場ではありませんので、これで終わってしまうとクレームがつきそうなので、英語に話し戻します。英語の場合も同じで、自分の語彙の中に何があって、何がないのか、何を仕入れればいいのかをまず一旦立ち止まってチェックする必要があります。それをしないでやみくもに単語を覚え続けるのは、通販衝動買いシンドロームまっしぐらですから要注意です。効率的に力をつけたいとお考えであれば、語彙の棚卸をしてみましょう。語彙の棚卸についてはまた来週お話をしたいと思います。
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