実は「雨の日は絶好の写真日和」と知っていましたか。
雨のおかげで、街のあらゆるものが普段では見られない表情をしています。そこで、この記事では、雨の日の魅力を表現できる撮影テクニックや被写体を紹介します。
見つけた被写体の良さを引き出すためには、さまざまな撮影方法のコツを知っておくと便利ですよ。また、雨の日の撮影に欠かせないカメラやレンズの雨対策も紹介するので、まとめて覚えておきましょう。
[講師]Tolanca(トランカ)編集部
「雨らしさ」を表現する撮影テクニックや被写体5選
「雨らしさ」を表現するためには雨にふさわしい被写体を選ぶことが大切です。
ここでは、特徴のある被写体を5つを選んで、それぞれの被写体の特徴と、魅力を引き出すための撮影テクニックを解説します。
花や葉っぱのしずくを撮る
雨の日の植物はどこか生き生きと輝いて見えますよね。花や葉っぱのしずくを中心に撮ると、本当に植物たちが輝いているかのような雨の日らしい写真に仕上がります。特にしずくそのものを拡大して写すことによって、光が当たったときのキラキラが一層強調されてきれいです。こんな被写体の拡大撮影にはマクロレンズを使ってみましょう。
マクロレンズでしずくを拡大してキラキラ感を出すためには、撮影の中心に据えるしずくに対して背景のしずくの光をぼかすのがおすすめです。そのためには、F値を小さくすることによって絞りを開き気味にして撮影します。しずくの中に映り込んだものを撮るときにはピントをしずくの中に、しずくのキラキラを撮るときにはしずくの外側にピントを合わせると良いでしょう。
傘を意識して撮る
雨の日は、晴れの日よりも太陽の光が弱いので、幻想的でしっとりした写真になりがちです。そんな時に、雨の日のマストアイテムである傘を意識して撮ると、動きや面白みのある写真に仕上がります。
傘は、それ自体がカラフルなので集まると撮影の主役になります。高いビルなどの上から、交差点で行き交うたくさんの傘を見下ろして撮るとカラフルできれいです。
また、傘の存在を差し色として使えます。雨の風景の中に、パッと明るい傘がひとつ加わるだけで全体の雰囲気が変わります。
たとえば、雨の紅葉を背景に鮮やかなブルーの傘を差す人が居ると、紅葉が一層引き立ちます。傘を持って歩く人や強風の中で傘を支えている人などを入れると、動きとストーリー性がある写真が撮れます。特に雨が降っている時は、シャッタースピードを遅くすると降っている雨を撮れるのでより雨の日らしさを引き立てられます。
水たまりに映る景色と波紋を撮る
水たまりは雨の日の象徴のひとつです。雨上がりの水たまりに映る景色を撮影すると、いつもとは違った魅力を引き立てられます。ただ水たまりに映り込んだ景色だけを撮っても、単調な写真になるので、雨上がりの晴天の青空や夕焼けの映り込みを撮りましょう。さらに、実際に歩いている人の足などの実像を対比的に撮ると、写真に立体感が増すだけではなく動きもあって面白い写真になりますよ。
また、水たまりに雨粒が落ちてできる波紋も動きを感じる被写体です。波紋の輪を捉えるためにはシャッタースピードを遅くするのがポイント。ピントを波紋のできている水面に合わせて、F値が一番小さい、絞り最大にすることできれいな波紋が撮れます。
広角レンズを使うと、水たまりに落ちる雨と波紋を同時に撮影することも可能です。地面近くにカメラを構え、1/1000秒くらいシャッタースピードを早めて撮影すると、落下する雨粒と波紋を組み合わせたダイナミックな写真に仕上がります。
夜にぬれた路面に反射したライトアップを撮る
雨の日のライトアップは、雨らしさを表現できる絶好スポットです。路面が乾いた普段のライトアップよりも、ぬれた路面に光が反射して華やかさが増すので、路面越しに奥の景色を撮ると幻想的な写真が出来上がります。絞りを最大にして、奥にピントを合わせて撮ると、路面に反射した光がぼやけて水面のように写ります。通常であれば、光っている状況を再現するために長い露出時間が必要です。しかし、反射光がぼやけることで水面越しに見るような趣のある写真を撮れますよ。
雨粒のついた窓越しの写真を撮る
窓についた雨粒に焦点を合わせて、窓越しの風景をぼんやりと撮ると、遠い懐かしさを感じさせるような雨らしい写真に。F値が小さいほど通る光の量は多くなるので、同じピントでもF値が大きいと背景がぼやけます。そのため窓の雨粒にピントを合わせながら、景色をしっかりと撮影したい場合はF値を絞って小さくしましょう。また、写真のイメージを左右する色合い、つまりホワイトバランスを青くすると、雨の日の冷たい印象や朝の時間帯をイメージできるので調節してみてください。