各キャラに新しい友人が登場
ゲイのキャラ(スタンフォードやアンソニー)以外に、白人キャラ勢揃いだったSATCにダイバーシティとインクルージョンをもたらすために、各キャラの行動範囲に応じて、BIPOC(Black, Indegenous, People of Color=黒人、先住民、有色人種)を代表する新しいお友達が登場します。
キャリーは、子供のいない未亡人となり、著作業からも遠のいていたため(10年余り有閑マダムだったのでしょうか?モノ書きとしては、興味津々!)、ノンバイナリーのスタンダップコメディアンのチェイ・ディアス(サラ・ラミレス)が司会する、ポッドキャスト番組に出演して第二の人生に踏み出そうと試みます。LGBTQ目線で番組は進められ、過激で露骨な発言に不慣れなキャリーは、上司チェイにもっと積極的に参加するように注意されてしまいます。かつては「セックス・アンド・ザ・シティ」欄を担当して時代の先端を行っていたキャリーも、今や時代遅れのお高く止まった融通の利かないおばさんになってしまったようです。wokeな世界に足を踏み入れたX世代のキャリーが、ジェネレーションギャップを痛感するのは当然です。
ミランダは、30年務めた企業弁護士を辞めて、母校コロンビア大学で人権法を勉強し始めました。職業柄、理屈っぽいのは今更言うまでもありませんが、教授ナイア・ウォレス(カレン・ピットマン)や法学部の生徒達(Z世代)とは、ジェネレーションギャップが大き過ぎて、言うこと為すこと全てがwokeな若者の神経を逆撫でします。ミランダが振りかざす「白人の救世主強迫観念」には、米国のBIPOCグループは身につまされるかもしれませんが、日本の視聴者には、ぴんと来ないかもしれません。
因みに、「白人の救世主強迫観念」とは、偏見や差別を目の当たりにした時に、優位に立つ白人が、その場しのぎの解決策を提供して自己満足することで、問題の根本を無視した解決策は、長い目で見ると白人至上主義永続に加担することになる可能性があり、白人の独り善がりの行動と非難されることだと言うのが私なりの解釈です。しかし、特に差別された体験を話し合おうと歩み寄っても、開口一番「迫害された体験のない人には、何を言っても分からない」と斬り返されると、フーテンの寅さんではありませんが、「それを言っちゃあ、おしまいよ。」と殻に閉じこもりたくなります。そう言う意味では、軽蔑されてもお説教されても、歩み寄ろうとするミランダは偉い!と思ってしまいます。
更に、ミランダは17歳の息子に手を焼いており、夫婦関係は今や子供とアイスクリームだけが共通点の同居人関係と化し、何をするにも「先ず、一杯ひっかけてから」とアルコール依存症寸前です。ニクソンは実生活では、同性愛者と公表していますし、今年5月に活動家クリスティ・マリノニと同性婚をあげたばかりです。従って、続編「AND JUST LIKE THAT... 」では、心機一転を目指すミランダが極端に老け込んだスティーブ(デビッド・エイゲンバーグ)と別れて、LGBTQに仲間入りしそうな気配です。自然な流れではないでしょうか?
シャーロットのみが、SATCから全く変わっていません。見栄っ張りな自己チュー女は、何もかも「完璧」でないと気が済まない、はっきり言ってお友達にしたくないタイプです。養女リリーは神童ピアニスト、夫ハリー(エヴァン・ハンドラー)との間にもうけた次女ローズ(アレクサ・スウィントン)は、「女の子と呼ばないで!」と爆弾発言して、シャーロットはオロオロするばかり。友人アンソニーの助言は言い得て妙!と感心しました。
悩み事と言えば、黒人のお友達がいないこと!高ビー専業主婦シャーロットは、ドキュメンタリー制作に従事するママ友リサ・トッド・ウェックスリー(ニコール・アリ・パーカー)の友達の輪に入れてもらおうと、あの手この手でアプローチします。
「AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章」は、'末永く幸せに暮らしましたとさ'は、お伽話の結末で、現実はそんなに甘いものではない!とキャリーの喪失が教えてくれる、SATCよりも遥かに現実的なコメディです。但し、いくら現実的と言っても、架空の世界のこと。キャリー、シャーロット、ミランダは、いずれもお金に困ることがない悠々自適軍団。キャリーに至ってはビッグの遺産分割を巡って二番目の妻ナターシャ(ブリジット・モイナハン)と、ビッグの遺言状を話し合う逸話まで登場します。又、住み慣れたキャリーの古巣はそのまま残っていて、帰る場所があるからこそ、ビッグの思い出が詰まった億ションを手放すことに抵抗を感じませんし、夫に先立たれたからと言って、慌てて生活費を稼ぐ必要もありません。近年、「女三界に家なし」を身に沁みて感じている私には羨ましい話です。つまり、壮年期の生き辛さは、お金があればこんな感じ. . .ってことなんでしょうかね?5話以降の展開が楽しみです。
提供・tvgroove
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