ボートに乗って井の頭恩賜公園を眺めよう
井の頭恩賜公園といえば、池を優雅に進むボートの存在も欠かせません。七井橋のたもとにある「井の頭恩賜公園ボート場」では、手で漕ぎ進む一般的な「ローボート」のほかにも、白鳥型の「スワンボート」や自転車のようにペダルを漕いで進む「サイクルポート」が用意されています。
【ボート利用に関して】
・利用料金
ローボート 1時間700円(超過30分まで300円)
サイクルボート 30分600円(超過30分まで600円)
スワンボート 30分700円(超過30分まで700円)
・利用時間 9:30〜16:50
※季節によって営業時間が異なります。詳しくは公園HPでご確認ください。
・休業日 12月〜2月まで水曜日定休(水曜が祝日の場合は翌日が定休日となります)
※管理上の都合や天候によって、時間の変更や利用を中止することがあります。
「パークス スワン」で小休止
散策の休憩や水分補給でぜひ立ち寄りたいのが、井の頭恩賜公園ボート場に併設された売店の「パークス スワン」。
小腹がすいたときのおやつにぴったりな軽食が、名物の「三福だんご」(1本350円)。お米から作った団子を炭火で焼き上げたもので、優しい甘さの「くるみ味噌だれ」と、さっぱり味の「しょうゆ」の2種類を用意。散歩のエネルギー補給にもなりそうです。
「パークス スワン」
営業時間/ 9:30~17:00
定休日/年末年始
中田喜直の「ちいさい秋みつけた」の歌碑
三鷹にゆかりのある作曲家、中田喜直(なかだよしなお 1923〜2000年)氏の生誕90周年を記念した歌碑です。アップライトピアノの形をした歌碑は2013年11月に建立されたもので、代表作の『ちいさい秋みつけた』の直筆の譜面が彫り込まれています。
『めだかの学校』『夏の思い出』などの作曲でも知られている中田氏。童謡や合唱曲、ピアノ曲のほかに校歌や社歌も数多く手掛け、その作品は生涯で2000曲以上にもなるそうです。
井の頭弁財天
狛江橋から井の頭池の向こうに見えるのは、井の頭弁財天のお堂です。井の頭弁財天の創建は天慶年間(938〜946年)、関東源氏の祖である源経基(みなもとのつねもと)が、弁財天女像をこの地に安置したのが始まりといわれています。
建久8年(1197年)には、源頼朝によってお堂が建立され、その姿は歌川広重によって『名所江戸百景(1856年刊行)』の『井の頭の池弁天の社(いのがしらのいけべんてんのやしろ)』にも描かれています。
頼朝の建立した宮社は火事で焼失してしまいましたが、三代将軍の徳川家光の時代に再建。当時より五穀豊穣をはじめ、水源の守り神・財産を授ける神、芸能・音楽に縁のある神様として篤い信仰を集めているそうです。
井の頭弁財天の本堂には、弁天様のほかにも、毘沙門様や大黒様もお祀りされているため、七福神のうち三福神様をお参りできる大変ありがたいお堂なのです。お堂の内は撮影することはできませんが、御供所に一声かけて許可を取れば、お堂に上がらせてもらうことができるとのことです。
弁財天は財宝を授ける神様としても信仰されているだけあって、本堂の裏手にある龍の形をした銭洗い弁天には、硬貨を洗う人がひっきりなしに訪れています。
【井の頭弁財天】
開門時間/7:00〜16:00
※11月17日より令和4年1月末まで弁天堂屋根の改修工事を行います。境内の一部が通行止めになる場合がありますのでご注意ください。
徳川三代将軍御切付旧跡
弁財天の西側の遊歩道に佇む石碑は「家光の御切付(おきりつけ)旧跡」。「井之頭」の名付け親は徳川家三代将軍の家光だという伝説があります。鷹狩りのためこの地に訪れた家光公が池に湧く泉を見て、「井之頭」と、コブシの木に文字を彫りつけたと言われていますが、その伝承を今に伝えるため1893年に建立されたのがこの石碑です。
碑には「大ゆう院家光公様御手づから井之頭と御彫あそばされたる古むしの木是なり御切付の文字は今に宝物にして内陣に秘蔵す」と記されており、家光が切りつけた木は長らく、近くにある大盛寺の宝物とされていましたが、残念ながら1924年の火災により消失してしまったそうです。
玉川上水緑道へ
「徳川三代将軍御切付旧跡」を離れ、高台へ続く坂道を登って左へ進んでいくと、玉川上水の流れに出合います。
多摩川の羽村にある取水口から四谷まで約43kmある玉川上水は、1653年(承応2年)、江戸幕府が多摩川から江戸市中に飲料水を供給するため計画したもので、庄右衛門、清右衛門の玉川兄弟が完成させたと伝えられています。
上水のすぐ脇には歩きやすい玉川上水緑道が整備されており、杉並区の浅間橋から福生市のJR「拝島」駅前にある平和橋までの約24kmを歩くことができます。井の頭恩賜公園を離れ緑道を「三鷹」駅方面に数百メートルほど歩くと、小説家の太宰治が入水した地を示す玉鹿石にたどり着きます。
松本訓導殉難の碑
玉川上水緑道のすぐ脇にある大きな石碑は、「松本訓導殉難の碑」です。1919年、東京府麹町区(現在の千代田区)の永田町小学校の生徒たちは、秋の遠足として井の頭恩賜公園を訪れていました。
玉川上水のほとりで遊んでいた児童が足を滑らせ、当時は水量が多かった上水に落ちてしまいます。遠足を引率していた教師の松本虎雄氏は、上水に飛び込み児童を救おうとしましたが、急流に飲まれて亡くなってしまいました。
児童を救うために命をかけたその行動は、「教師の鏡」として人々に感銘を与え、松本氏が33歳の若さで殉職したこの地に記念碑が建てられたのだそうです。
萬助橋
松本訓導殉難の碑を右手に緑道を進むとすぐに、萬助橋のある吉祥寺通りと御殿山通りの交差点に出ます。吉祥寺通りを左に行くと、三鷹の森ジブリ美術館があります。運が良ければJR「三鷹」駅南口から美術館へ向かう、ジブリのラッピングバスに出会えるかもしれません。